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シローの走り書き

走るクマ

ここまでの楽天

2005.4.5  

 ここまでの楽天イーグルス、それほど悪くない。話題豊富。フルキャスト・スタジアム宮城も悪くない。ファンの応援も話題豊富。

 話題豊富は、新規参入の球団だから、当然ではある。それに加えて、敵地での緒戦ロッテ戦に歴史的勝利を挙げ、その翌日には0対26で歴史的大敗。これで話題にならないはずはない。そのあとは、「IT対決」と称されたソフトバンク戦に、いいところなく3連敗。チーム打率1割6分、防御率10点台で本拠地に戻ってきた。

 まかりまちがえば、他チームに軽くみられる、あなどられるチームに成り下がるところであった。本拠地での対西武の緒戦は、岩隈投手での必勝を期していたから、このゲームに負ければ、あとは坂道を転がる石と化すとの心配が頭をよぎった。春が遅い仙台の地での4月1日ナイターという本拠地開幕戦。寒さを感じる前に、一番磯部のバックスクリーンへの球場初ホームラン、球団初ホームランが、寒さどころか心配も吹き飛ばしてくれた。

 「あれよ、あれよ」が、「行け行けどんどん」のお祭り騒ぎに変わった。それほどの楽天の猛攻であった。「やればできるじゃないか」と思わず口に出してしまったが、こういった物言いこそが、自信のなさの現れである。これまでがあまりに悪い出来だったので、ついつい本音が出てしまった。終わってみれば、楽天16点、西武5点。この大量得点で、26対ゼロの呪縛から早くも逃れることができた。これはありがたい。

 試合終了後に、球場横の仮設テントで本拠地開幕戦を祝うレセプションがあった。私が乾杯の音頭とり。日記にも書いたが、「完敗でなく、完勝で杯を挙げましょう」と気分良く語りかけることができた。これが敗戦で終わっていたら、いったいどんな乾杯の音頭をとることになったのだろうか。会場至るところで、「よかった、よかった」と肩をたたき、抱き合う光景が見られた。本当によかった。

 大量点での勝利を喜びながらも、対西武の第二戦は、楽天の敗戦は覚悟していたのが、このレセプション出席者の大半だったろう。なにしろ、西武の予告先発投手は「怪物」松坂大輔である。こちらの岩隈は今日使ってしまったのだから、打てるはずがない、勝てるはずがない。こういう発想自体も、まさに自信のなさの現れではあるのだが、新規参入して6試合しか戦っていないチームとすれば、仕方がないのかもしれない。

 それが、なんと勝ってしまった。150キロ超の速球をビシビシ投げ込む松坂に、「ものが違う」と感動しつつ見ていた私の目の前で、その松坂が打たれている。1インニングに3点も取られている。そして8回裏には2点追加で勝ってしまう。そんな場面に居合わせて、感動してしまった。これははっきり、「楽天、やれるじゃないか」との自信につながった。

 「やれる」というのは、フルキャスト・スタジアム宮城の球場運営にも言える。正直なところ、心配はしていた。そもそも、球場改修が間に合うのか、試合に使えるのかという心配をしなければならないほどのギリギリスケジュールでの改修工事であった。鹿島建設よくやった。これも感動ものである。ありがとう。

 物販の仕切り、広告看板の売込み、チケットの販売、その他、開幕に間に合わせるためのソフト面での対応も時間との勝負であった。それも見事に成し遂げた楽天球団スタッフの努力は特筆ものである。細かいところを見れば、不満もあるのだろうが、こんな日程を考えれば、文句を言うほうがおかしいのかもしれない。

 試合当日の交通渋滞対策、観客誘導、安全対策、球場内の美化などなど。これらも、順調にいった。事前のシュミレーションの機会がなく、ぶっつけ本番であったのだから、上出来と言ってよい。スタッフの苦労はいかばかりだったろうか。その苦労が実った成果である。

 そして、ファンの応援のすごさ。選手、監督も異口同音にそのことへの感謝を言っている。球場で応援していた私から見ても、応援の力は感じられた。練習もしていないのだから、まとまった応援にはなり得ないのだが、だからこそ、自然な気持ちの発露としての応援ぶりが選手のハートに火をつけるのだろう。賛否両論あるようだが、私としては、鳴り物なしの応援が快い。試合の進行に集中できるのは、なんといってもメリットである。

 ということで、「ここまでの楽天」は、上出来である。136試合もやるシーズンのうち、10試合も終わっていない段階では、評価するのはあまりにも早い。しかし、新興球団である。「始め良ければすべて良し」とまでは言わないが、スタートダッシュは、どこのチームよりも大事である。だからこそ、「ここまでの楽天、悪くない」と評価できることは、とてもうれしい。

 次にこの話題を書く時には、どうなっているか。書いている私自身が楽しみである。



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