―なぜ、統合を強く求めるのですか。
「障害者自身がサービスを選ぶ支援費制度の理念はいい。だが、スタートした03年度から財政的に破綻している。在宅サーピスの需要は右肩上がりなのに、国の補助金は需要の8割しか満たしていない。宮城県内だけで1億3千万円の歳入欠陥だ。来年度はもっと苦しくなる」
「これでは障害者にと っても、非常に不安定で不幸。半分が保険料で賄われ、財源が安定している介護保険と統合するのが現実的だ」
―支援費を増やすべきだとの意見もあります。
「正論だが、冷徹にみると非常に難しい。国家財政を考えてほしい。支援費の未来は厳しい」
―統合して、20歳以上から保険料を集めることに国民の理解が得られますか。
「税でも保険でも、か かる金は同じ。新たな負 担を求める場合、制度の 性格が極めて重要だ。日本では税はただ取られるもので何に使われているか見えにくい。介護だけに使う保険料を払うことで、ひとごとだった高齢介護の問題を、強制的に自分のこととして考えるようにする仕組み。県内でも介護の意識はずいぶん変わった。ここが税金を財源にした支援費制度とは決定的に違う点だ」
―統合で、障害福祉に対する国民の意識も 変わると。
「障害書福祉は多くの国民にとってひとごと。障害者は気の毒な人で、自分とは関係ない。それが統合の議論で光が当たる。この機会に、若い世代を含めて国民の理解や連帯を深めたい。これは厚生省の障害福祉課長だった17年前からの夢だ。支援費制度の対象になっていない精神障害者福祉も充実させたい。統合は障害者福祉の新しい流れを作るきっかけになる」
―統合すると、使えるサービスの種類や量が減ると不安を抱く障害者もいます。
「障害者団体の不安はいまの介護保険への批判だ。内容を重度の障害者に合わせて見直せばいい。支給限度額をなくして、高齢者も障害者も必要な人は必要なだけ使えるようにすべきだ。医療医療保険では、がん治療に1千万円かかる場合も基本的に額の制限はない」
―高齢者と障害者では必要なサービスが違い、すぺで統合するのは無理との主張もあります。
「確かに難しく、2階建てにせざるを得ないだろう。例えば、1階は食事や入浴の世話など共通する基本的な生活を支えるものにする。2階は障害者が社会参加するための移動を助けるなど、介護保険になじまないサービスを対象にする。税金だけで賄う部分は残る。具体的な内容の検討はこれから。介護保険が国民全体にとってより良い制度度になる統合にしたい」
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