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讀賣新聞 2003年4月29日
《社会保障改革の視点
》4 障害福祉
取材記事(安田武晴氏)から

介護保険と統合し財源拡大


 二〇〇五年度の介護保険制度見直しに向けて議論が始まっているが、障害者福祉も介護保険に取り入れるべきだ。

 障害者の支援費制度は一般会計の事業で、支出規模は、 市町村の財源や、補助する国の予算確保の状況次第だ。これでは障害者福祉の底上げは難 しい。全国どこでも、一定のサービスを継続的に受けられるようにするには、安定した財源が必要だ。そのために介護保険を活用するのは、有効な手段といえる。

 介護保険の導入から三年が経過、介護サービスの提供主体は大幅に増えた。制度がうまく機能しているからで、圧倒的に不足している障害者の在宅サービスについても、提供主体の増加が期待できる。

 だが、介護保険との一体化に慎重な障害者も多い。二十四時間ホームヘルプなど、長時間サービスを利用している人が、「これまで通りのサービスを受けられなくなる」と心配する。介護保険では、サービスの利用に上限があるからだ。また、「障害者には、様々な社会参加を可能にする支援が必要。 介護保険ではそれが難しい」 との声もある。

  これらは、介護保険のサービス内容を、障害者に合ったものに見直せば済む。要介護度6, 7の創設や、医療保険の高額療養費のように、自己負担限度額を超えた分が支給される仕組みを検討してもいい。また、例えば「恋愛」は、重要な杜会参加のひとつだが、デートヘの付き添いを介護保険で認めるかどう か、といったことも話し合えばいい。精神障害も含め、障害者福祉のどの部分を介護保険で賄うのか、どんどん議論すべきだ。

 高齢者も障害者も、福祉の実施主体は地方自治体。介護保険のあり方を地方から変えていくために、今後も提言を続けてい く。


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