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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/11/2
http://www.asanoshiro.org/                  第165号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「新潟県中越地震」(浅野史郎)

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 ○「新潟県中越地震」(浅野史郎)

 10月23日の午後5時56分、私は埼玉国体の役員懇談会に出席してい
た。テーブルの上の飲み物が揺れている。身体も揺れてきた。天井の照明器
具もゆらゆらしている。「地震だ」という声。その後、もう一度揺れがきた。
いずれも、それほど大きい地震とは感じなかった。「熊谷市で震度4」とい
うことをあとから聞いて、結構な揺れだったのだなと思ったぐらいだった。

 同じ時刻、新潟県の中越では、とてつもない大きな揺れだったことを、し
ばらくしてから知った。ラジオ、テレビの報道が、時々刻々と災害の状況を
伝えてくる。尋常の地震ではない。大変な災害である。

 昨年の7月、宮城県北部は、一日に震度6が3回も襲うという地震に見舞
われ、大きな被害を出した。幸いに死者は出なかったが、被害の記憶が生々
しい。新潟での地震被害は、他人事ではない。なんとか救援をしたいという
気持ちになる。

 新潟では、一時期10万人を超える避難者を数えた。避難場所は体育館が
主体ということで、余震が恐いだけでなく、狭いしプライバシーもない、避
難者を収容しきれないということで、車の中で夜を過ごす家族が多数いらっ
しゃる。これは、宮城県北部連続地震では、ほとんど見られなかった現象で
ある。

 情報がない、食料がない、安否がわからないといった災害直後の大混乱状
態は一応過ぎた。現在は、避難の長期化からくる健康悪化、精神的ストレス、
寒さ対策、トイレ対策などが主体になりつつある。仮設住宅ができるまでは、
もう少し時間がかかるし、できても需要をまかなうだけの数が確保できるか
どうかもわからない。余震がおさまらず、ライフラインの復旧も不十分で、
自宅に帰る目処も立っていない。

 こういった状況の中では、特に、お年寄り、病弱者、小さな子どものこと
が気にかかる。いつまでも避難所生活ということは、どう考えても無理があ
る。短期間でも、食事、トイレ、入浴がゆったりとできて、余震の心配もな
く、のんびりできたら、元気を回復してもらえるだろう。そんなことから、
宮城県では、宮城県内でそういった宿舎を一定期間利用してもらう便宜提供
を申し出ている。

 連日、災害の現場からの報道がテレビ、新聞でなされている。それによっ
て、我々も災害の状況、避難していらっしゃる方々の生活ぶりをつぶさに見
ることができる。しかし、一方で心配になるのは、あれだけの報道陣がいる
ことによって、避難所での混乱に輪をかけるようなことにはならないのだろ
うかということである。阪神淡路大震災の時には、取材ヘリコプターの音が
大き過ぎて、家屋の下から救助を求めている人の声がかき消されてしまった
ということもあったと聞く。節度ある取材を心がけるべき時期にはさしか
かっていることだろう。

 救援の手は、全国各地から差し伸べられている。物資も大量に届けられて
いるが、これらをさばいて、本当に欲しい人のところに届けるには、膨大な
作業が必要である。この辺が的確に行われているのかどうかが、気にかかる
ところではある。ボランティアも、続々と新潟入りをしている。心強いこと
ではある。ボランティアを受け入れるにも、人手が必要だし、実は、経験が
ものを言う。現地では実際にどういう具合になっているのかわからないが、
阪神淡路大震災などの経験が大いに役立っているようではある。

 小泉首相の現地視察が遅かったとか、滞在時間が短かったとか、いろいろ
批判の声が上がったようである。これも、実にむずかしい問題である。現地
が大混乱になっている時点での視察は、場合によっては、迷惑以外のなにも
のでもないということはあり得る。首相の視察は、現場に大いに勇気を与え
ることになるから、早い遅いを言うようなことではないであろうが、それ以
外の「要人」の視察は、よほど考えてやらないと、力になるより迷惑が先立
つことがあり得る。

 それもこれも、周りが無責任なことを言うべきものではない。まずは、現
場の人たちに迷惑をかけない形での、実質的な支援をどんどん行うことが大
事である。「どうしたらいいか」ということを、一つひとつ現地の災害対策
本部に伺いを立てることも、ほどほどにする。臨機応変ということはある。
避難所に聞くのではなく、避難住民に聞くという姿勢も忘れてはならない。

 明日はわが身である。だから、できる限りの支援をするという意味もある
が、明日同じような災害が襲ったらどうするかということを真剣に考え、行
動する契機にするという意味もある。

 ともあれ、一日も早い復興を心から願わずにはいられない。

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> [編集後記] <

 つい今し方、仙台を本拠地とする新プロ野球球団が「東北楽天ゴールデン
イーグルス」に決まったとの報道がありました。

 これでとうとう仙台でプロ野球が毎週のように見ることができます。来年
、野球観戦三昧の人生を送るため、今から準備を始めたいと思います。
 
 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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