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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2004/3/2
http://www.asanoshiro.org/                  第130号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「続・みやぎ知的障害者施設解体宣言」(浅野史郎)

 [読者のみなさんから]
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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「続・みやぎ知的障害者施設解体宣言」(浅野史郎)

 2月21日に「解体宣言」を発してから、さまざまな方面から、さまざま
なご意見が寄せられている。私の厚生省社会局生活課長時代に、婦人保護と
いう仕事を通じて知り合いになった北沢杏子さんは、「性を考える会」の代
表。その彼女からお手紙をいただいた。「やったーっ」という躍るような文
面である。彼女が出している機関紙で、「もう施設には戻らない」という特
集を掲載した号が同封されていた。知的障害を持つ本人の叫びが、肉声で語
られている。

 「宮城県のことなのに、どうして宣言発表が県外の滋賀県でのアメニティ・
フォーラムなのか」という批判も聞こえてきた。フォーラムの首長セッショ
ンに参加してもらった鳥取県の片山善博知事が、翌々日の定例記者会見で早
速に「鳥取県も脱施設化に取り組む」ということを発表していた。施設解体、
脱施設化は、決して宮城県だけの関心事ではない。なによりも、アメニティ・
フォーラムに参加していた1500人の関係者にとって、自分ごとなのであ
る。その意味でも、発表の場は間違っていなかったと思っている。

 世の中全般の関心ということで言えば、まだまだであることを実感させら
れた。その一つ。2月24日(火)の夜、TBSラジオの「アクセス」とい
うニュース番組の中の「バトルトーク」で、「宮城県の浅野知事が行った、
知的障害者の「脱施設」宣言に賛成?反対?」というのがテーマになった。
番組の冒頭の電話取材で、私からも趣旨を説明する場面があった。なにしろ、
中途半端な説明では理解がむずかしいテーマである。「解体宣言」という刺
激的な表現に過剰反応する人も少なくない。インターネットでの書き込みに
アクセスして、視聴者の意見を読むことができた。それを概観して、こちら
もいろいろなことを考えさせられた次第。


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※この部分は、TBSラジオ番組「アクセス」のホームページより、無断で
 転用した部分がございました。そのため、該当部分を削除しております。

関係者の方々にはご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。

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 これらの意見に、いちいち反論する気はない。彼等を「無知、非常識、不
見識」と非難しても始まらない。むしろ、こういった見方がどうして出てく
るのか、そちらのほうに重大な関心がある。子どもの頃から、普通学級で知
的障害のある子どもと一緒の教育を受けていれば、まさか、ここまでの無知
にはならないはず。その意味でも、統合教育の実現が急がれる。また、これ
が現状であるからこそ、知的障害者が地域の中で一緒に暮らせる実例をたく
さん作る必要があると言えるのではないか。

 私としても、「解体宣言」の真意、まだまだ説明し足りないところもある。
解体の対象とする施設とは終生生活を送ることにもなる入所施設であって、
短期間の訓練のために入所する施設、一時保護のための施設を想定している
のではない。知的障害者を受け入れのあてもなく施設から「追い出す」こと
など想定するはずもない。地域生活支援の条件づくりが先であって、解体す
るのはその後というのは、当然のことである。地域生活に移行するのであっ
て、親元に戻すのではない。施設での生活よりも、豊かで安心できる生活を
送ってもらうためのものである。

 こういったことを、きちんと説明させてもらいながら、地域生活支援の条
件づくり、土壌づくりをしていかなければならない。このコラム購読者の方
々のご意見はどういったものなのだろう。知りたいなという気になるところ
ではある。

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> [読者のみなさんから] <

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 当メルマガには、皆さんからたくさんのご感想をいただいております。そ
の皆さんの声の一部を掲載しております。


 <倉島さまから>

 知事が言われる「障害者も普通の生活環境での生活」は分かる。
 しかし、一律に「地域」に戻してしまっても良いのだろうか。

 重度の知的障害を抱えて生きる者にとっては、他人の介護、或は世話が絶
対に必要なハンデがある。例えれば「自傷癖」を持つ患者、「放浪癖」のあ
る患者にとっては家族の介護に全てを委ねる事は不可能であろう。家族が背
負いきれない為に施設に頼らざるを得ない個々の事情が存在する。

 「地域」に戻す場合に余程確りした受け入れ態勢が整っていなければ、単
に放り出した結果にはならないか心配である。くれぐれもその様な結果にな
らないように行政の配慮を望む。



 本日は、お一人の感想を掲載いたしました。ご意見、ありがとうございま
した。

※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま
 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
 投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの
 掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。

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> [編集後記] <

 今シーズンの東北は珍しいほどの暖冬だったようです。とはいえ、まだま
だ朝は冷え込みますので、体調管理には十分ご注意下さい。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。
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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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