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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004/1/27
http://www.asanoshiro.org/                  第125号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「非常事態下の県職員の給料削減」(浅野史郎)

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 ○「非常事態下の県職員の給料削減」(浅野史郎)

 わが国の経済の低迷は、バブル経済の崩壊の後、長きにわたって続いてい
る。最近に至って、好転の兆しを見せていると言われているが、一時的なも
ので終わるのではないかとの危惧もある。地方経済は、さらに深刻である。
好転の兆しがあるとしても、それは宮城県の経済の現況にあてはまるもので
はない。中高年の雇用喪失に加え、新規高卒者の就職難は、いまだに解消さ
れない状況である。

 そういった状況を、手をこまねいて見ているわけにはいかない。地域経済
の疲弊は、地域自らの努力で乗り越えなければならない。その中で中核的な
役割を果すべく期待されているのが、わが宮城県である。宮城県という組織
は、県民の税金で成り立っており、県民の幸福を最大にするための存在であ
る。今まさに、県民が地域経済の疲弊という、困難な状況に置かれている。
二重の意味で、「県民あっての宮城県」という原点に戻らなければならない。

 平成15年度途中から始めて、平成16年度、17年度にまでわたる「宮
城県緊急経済産業再生戦略」を打ち出したのは、こういった認識に立っての
ことであった。このことは、昨年5月20日のメルマガ第89号、「経済産
業再生戦略」に既に書いた。その際に強調したのが、県民生活の向上、雇用
の確保なくして、県庁の存在意義もないということであった。

 「緊急経済産業再生戦略」という名にふさわしいような効果を上げるため
には、2か年度半という短期間に相当程度の事業を実施しなければならない。
事業の全体規模もかなりのものにならなければならず、そこで500億円超
という数字をあげた。それだけの事業を行うための県の一般財源の規模も、
相当規模に上らざるを得ない。そして、それを県の財政がいまだに危機的な
状況から脱していない中で進めていくことになる。

 このことを、「二兎を追う」ということで表現させてもらった。財政健全
化と緊急経済産業再生戦略の二つの目標を掲げて、いずれも達成するという
ことである。財政健全化は、我々にとっての最重要事項である。緊急経済産
業再生戦略で県の財政調整基金や保有株などの財源を使うことによって、財
政健全化を危うくさせることなど、とても許されることではない。「緊急経
済産業再生戦略なって、財政健全化ならず」になってしまうような政策選択
は、絶対にとれないということである。

 今回、緊急経済産業再生戦略の財源として、県職員の給料削減分を含めて
いる。このことに関して、職員組合とは何回も交渉を重ねてきた。「緊急経
済産業再生戦略の財源は、財政調整基金の取り崩しや保有株の売却によって
賄うべきであって、地方公務員法によって守られている職員給料の削減を行
うべきではない」というのが「三者共闘会議」に結集する県職組、宮教組、
高教組の主張であり、給料削減提案は白紙撤回されるべきであるという主張
がなされてきた。

 部長交渉7回、知事交渉3回が行われた後、1月19日の4回目の知事交
渉においても、議論は平行線をたどり、合意に至ることができなかった。そ
こにおいて、私からは、論点は出つくしており、これ以上交渉を続けても、
合意に達することはできないということから、交渉を打ち切り、来るべき県
議会に給料削減のための条例を提案させてもらうことを宣言することになっ
た。組合側は納得せず、議会での条例成立阻止を第一義に、さらには法廷闘
争も考えるとの方向を示したところである。

 私としては、これまでの4回の交渉の場において、今回の緊急経済産業再
生戦略の意義を説明し、県庁の存在意義を賭けて関わっていくべきことを申
し上げた。そして、そのことを、綱渡り的な財政運営を続けながら、財政健
全化を成し遂げつつ実現していかなければならないことを繰り返し説いた。
しかし、残念ながら、組合側の理解と納得を得るまでには至らなかった。

 なぜ、このように平行線をたどったのか。県庁組織をどう捉えるか、その
中で知事の存在は何なのかの問題に行き当たらざるを得ない。県民あっての
県庁。県民、もっとわかり易く言えば、納税者に支えられて存在する県庁と
いうこと。そして、知事は職員の雇い主であると同時に、県民から選ばれて
県庁に送り込まれている存在ということ。このことを、改めて認識する必要
がある。

 県庁講堂での交渉の場においては、組合側と私は相対する。向かい合う。
組合側からは私と県庁執行部の姿が見える。しかし、その後ろには、姿・形
は見えないが、県民の存在があるはず。なぜなら、私も含めてであるが、県
で働く職員の給与は、すべて納税者たる県民によって支えられているからで
ある。組合とすれば、直接的には、私と交渉しているのであるが、同時に、
県民全体を相手にしているとも言える。

 知事の立場は、納税者によって支えられている県政の運営責任者である。
その財政を破綻させることなく運営していく義務を、県民に対して負ってい
る。こういったことも、大きな論点であろうと思う。これから、この問題を
めぐっては幅広い議論がなされることになるが、この際、押さえておくべき
論点と考えている。

 職員が、これまでも財政健全化と県民生活の向上のために協力し、尽力し
ていることに対しては、大変感謝している。だからこそ、地域経済の疲弊と
いう非常事態に直面している現在、県組織と県職員がどうあるべきかについ
て、改めて考えていただきたいと思う。そういったことを通じて、今回の私
の決断に対して、理解と協力をお願いしたいと考えている。

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> [読者のみなさんから] < 

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 当メルマガには、皆さんからたくさんのご感想をいただいております。そ
の皆さんの声の一部を、今後この場で紹介してまいります。


 <倉島さまから>

 旧来の弊害が一朝にして改革できぬとは思いますが、どうか粘り強く県民
に説明を重ね、ご尽力されん事をのぞみます。

 地方分権の流れは既に始ったのに、官僚組織の抵抗は並大抵の事では有り
ますまい。戦後60年に及ぶ自民党の政治が今日の依存体質を作ってきた訳
で、特に農村地帯での体質改善は牢固として抜きがたいのは当地においても
また然り、速やかに補助金行政から脱却して独立独歩の気概を浸透させなけ
れば日本の明日は無いと考えます。

 釈迦に説法で恐縮では有りますが如何か理想とする政治の実現にご尽力有
らん事を期待いたします。


 <升田様から>

 今日の毎日新聞を見て、いよいよ道州制が、議論される。私は、10年以
上前、大前研一さんの、本を読んで、賛成しました。
 政治が変わるには、100年かかると言われていますが、のんびりしてお
れぬ。当時は早すぎたかな、今、時期は熟していると思う。

 極論ですが、財源は、全て地方で、国へは、5%前後上納する。国は、外
交、国防の2省でよい。他の省庁は全て地方でやる。国会議員は150人か
ら200人まで、官僚は地方に分散する。等などの提案に賛成したものです。
老いの戯言と思って下さい。


 本日は、お二人の感想を掲載いたしました。今後も継続して、掲載してま
いります。

※お寄せいただくご意見は、当方の判断で掲載させていただく場合がありま
 す。基本的には削除、変更なしといたします。掲載不可のご意見の場合は、
 投稿の際にその旨明記していただくと助かります。また、ペンネームでの
 掲載をご希望の方もその旨を明記いただきますよう、お願いいたします。

 ご感想・ご意見は mmz@asanoshiro.org まで

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> [編集後記] <

 先週末からインフルエンザに罹ってしまったようで、体がだるく、鼻声で
す。熱は下がったのですが、まだまだ本調子とは言えません。

 罹ってから、うがいや手洗いをまめにするようになりました。みなさんも
十分にお気をつけ下さい。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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