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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003/10/14
http://www.asanoshiro.org/                  第110号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「衆議院議員選挙」(浅野史郎)

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 ○「衆議院議員選挙」(浅野史郎)

 衆議院が解散され、10月28日公示、11月9日投票で衆議院議員選挙
が行われることになった。片山鳥取県知事は、憲法の解釈から言って、今回
の解散はおかしいと批判している。本来は、衆議院議員も任期満了まで務め
るもので、内閣不信任の可決に対抗する手段として以外は、衆議院を勝手に
解散できないと解するべきである。つまり、首相が時期を選んでできると
いった「解散権」なるものはないとの主張である。

 今回の解散は、与野党に反対が強くあるわけでなし、その是非を争うよう
な場面は想定されない。しかし、片山知事の問題提起は、本来は、真面目に
議論されていいものである。とはいえ、この稿では、今回は扱わない。

 まだ公示されていないのに、選挙戦たけなわの状況である。選挙運動は、
おおっぴらに始まっている。これについて、ちょっとおかしいなと思う人は
いる。宮城県だけで、今回の選挙費用は20億円からかかる。結局は、国庫
から県に費用の交付はあるのだけれど、それにしても巨額である。その費用
に見合ったような結果を出してもらいたいと願う国民は少なくない。

 といったような話はあるが、それはそれとして、今回の選挙は、「政権選
択」の選挙であるのだそうだ。もともと、衆議院議員選挙は、いかなる場合
でも政権選択の選挙であるはずなのだが、今回はことさらにそれが強調され
る。

 いつだったかの衆議院選挙の直前、東京の三宅坂にあった社会党本部に
「改憲阻止のため、三分の一の議席を確保しよう」といった内容の垂れ幕が
掛かっていたのを見て、驚いたのを思い出す。社会党は、その当時、野党第
一党である。来るべき選挙では、当然ながら政権を奪ることを目標に掲げる
べき存在である。これは、憲政の常道、常識。最初から、三分の一が目標と
いうのでは、話にならない。しかし、当時は、社会党も国民も「そんなもん
だろう」と思い、そもそも全員当選しても過半数に届かないだけしか候補者
をそろえることができなかった。

 今回は、違う。自由党と合併した民主党は、本気で政権を狙っている。そ
れだけの候補者数を揃えた。そして、政権公約たるマニフェストの提示であ
る。このメルマガの今年2月4日第74号で、マニフェストについて書いた
が、いよいよマニフェストを前面に出しての選挙ということになる。

 その民主党が出したマニフェスト、最初のものは長くて、くどくて、正攻
法過ぎて、読む気がしなくて、わかりにくくて、アピール性に欠けていた。
次に出してきたものは、内容がだいぶ絞られて、表現もわかりやすくなった。
地方分権が、いの一番に出てきて、我々知事仲間には、少なくともその部分
については、大いに受けた。さらに、その次の「脱・官僚宣言」というのが
すごい。「5つの約束」プラス「2つの提言」が、A4版1枚にまとめられ
ている。5つの約束の第一番目が、「霞ヶ関からの「ひも付き補助金」を全
廃します」というのも、単純明快である。

 自民党もマニフェストを出すし、その他の政党もそれに続く。マニフェス
トという名前は耳慣れないし、違和感を感じる人はいるかもしれない。呼び
名はどうでもいい。我が党が政権を取ったら、こういったことをやるという
ことを明確に提示して選挙を戦うのは、初めてであろう。そのことは、大い
に評価し、期待したい。

 衆議院議員選挙というのは、内閣総理大臣を選ぶ選挙であるということが
忘れられていると感じていた。選挙後初の特別国会で真っ先になされること
は、首班指名である。首班指名では、当選してきた一人ひとりの議員が、一
票ずつ持たされている。その一人を選ぶのが衆議院選挙である。一人ひとり
の候補者の「公約」というのもあるだろうが、それより以上に大事なのは、
その候補者が属している政党の公約である。政策である。

 そもそも、候補者は、自分の政党の政策を理解しているだろうか。その内
容を、どれだけ説得力あるよ?うに有権者に説明できるだろうか。そもそも、
その政策を支持しているのだろうか。「この地域のためになる議員を目指し
ます」と有権者にアピールするのはありだが、その主張が演説のトップにく
る候補者は、いかがなものだろうか。「国政」選挙であり、直後に首班指名
をする選挙であることを、候補者だけでなく、有権者も忘れてはならない。

 有権者も賢くなっている。候補者は有権者をなめてはいけない。高をく
くってはいけない。まちがったレッテルを貼るのもいただけない。無党派層
というのは、決して政治無関心派ではなく、関心が高過ぎるあまりに、現状
では支持政党なしに追いやられている人たちを大量に含んでいる。今回のマ
ニフェスト花盛りを見せつけられれば、俄然支持政党選びに熱を上げる層と
も言える。

 それにしても、今回の衆議院選挙は、いつもの選挙とは違った形になるよ
うな予感がする。結果の予測を言っているのではない。今回の経過を通じて、
日本の政治が、いい方向に変わって行くことを予感し、そして期待している。

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 選挙が近くなり、いろいろな方から「事務所スタッフなどに学生を紹介し
て欲しい」と頼まれます。今までは、その都度、私が判断して知り合いの学
生に話を振っていましたが、さすがに今回ばかりはちょっと困りました。

 例えば、事務所スタッフになりたいと思っている学生を一堂に集め、その
学生達に候補者本人が自身の「マニフェスト」を語ってもらい、学生が自分
の意志で手伝う候補者を選べるようになったらおもしろいなぁと。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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