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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/8/26
http://www.asanoshiro.org/                  第103号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「夏の高校野球」(浅野史郎)

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 ○「夏の高校野球」(浅野史郎)

 今年の第85回夏の高校野球全国大会は、常総学院の初優勝をもって、8
月23日終了した。その優勝決定の場面を、私は甲子園球場の一塁側アルプ
ススタンドで目撃することになった。

 常総学院相手に2対4のスコアで敗れたのが、わが宮城県代表の東北高校
であった。今大会有数の本格派投手ダルビッシュ有君に加え、真壁賢守君な
ど厚い投手陣を擁して、甲子園での5試合を勝ち抜いてきた東北高校チーム
であるが、最後の最後で常総学院の力に屈してしまった。

 深紅の優勝旗を、史上初めて白河の関を越えさせるという思いでの決勝戦
の応援であったが、そう簡単にはできないことを思い知らされた。残念無念
である。残念ではあるが、決勝戦も含めて、東北高校チームの素晴らしい戦
いぶりに、すがすがしい思いをしたのも確かである。

 その決勝戦。東北高校が2回の裏に3本の2塁打を重ねて、2点を先取し
た時には、「ひょっとしたら圧倒的な点差で優勝するのではないか」という
期待を抱いた。優勝したら、知事としてどういったコメントをしたらいいか
などと考えていたら、それだけで感激の涙が出そうになった。負傷を抱えて
力投するダルビッシュ君の姿を見ていると、こみ上げてくるものがある。コ
メントをする時に涙声になってしまったら、ちょっと恥ずかしいななどとも
考えていた。

 そうは簡単にいかないのが、高校野球である。わが東北高校は、バント失
敗、牽制死など、早い回にチャンスの芽を摘み取られていた。相手チームの
すごさである。7回裏、2死満塁の逆転のチャンスに、4番横田君の放った
ライナーに思わず歓声を上げたが、一瞬後にため息に変わった。痛烈な打球
は遊撃手のグラブに収まっていた。東北高校とすれば「不運」と言いたいが、
試合後の常総学院の坂遊撃手のコメントを新聞で見たら、打者の構えを見て、
最初からセンター寄りに守っていたというのだから、これは相手が一枚上と
いうことになる。

 それにしても、東北高校の戦いぶりは、我々宮城県民を感動させ、そして
大きな勇気を与えてくれた。その意味で、心からありがとうと言いたい。今
年の宮城県は、ここまでのところ、大変なこと続きであった。景気不振に加
え、この夏は長雨と低温に悩まされた。7月26日には、県北部の連続地震
で大きな被害を出した。スポーツにおいても、サッカーJ1でベガルタ仙台
が大苦戦である。そういった中での東北高校の甲子園での大活躍であるので、
宮城県民は大いに盛り上がった。

 今年に限らず、そして宮城県に限らず、高校野球は日本中を熱狂させる。
「おらが県のチーム」を夢中になって応援する。夏の甲子園のこの時期だけ
は、愛国心ならぬ愛郷心が日本中を覆い尽くす。人によっては、親の転勤な
どで複数の県で子ども時代を送ったとか、自分自身の転勤などでいくつかの
県を経巡ったということがある。自分の愛郷心は、どの県に対して一番強い
のか。関わりのある県の代表校同士の試合になったら、どっちを本気で応援
するのかによって答が出るようである。

 夏の高校野球は、トーナメントであり、負ければそれで終わりということ
が、見ているものを感動させる。そのへんのドラマ性が、高校野球の魅力に
なっていることは間違いない。負ければ、明日はないのである。最上級生に
とっては、来年もない。だからこそ、負けて身をよじるようにして泣く選手
があり、それを見て感動する観客がいる。散り際の美学などと言ったら、少
し大げさかもしれないが、18歳又はそれ未満の少年たちが、必死になって
戦って、敗れ去っていく。その姿が美しくないはずがない。感動を誘わない
わけがない。

 そうやって最後まで残った、たった2つのチームが、私たちの目の前で素
晴らしい試合を展開してくれた。東北高校の優勝を信じて、甲子園球場で心
から応援することができた私たちは、なんといっても幸せなことであった。
そういった舞台を作ってくれた東北高校チームには、改めて感謝の言葉を捧
げたい。

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> [編集後記] <

 決勝戦は、自宅のテレビで見ておりました。結果はどうあれ、久しぶりに
興奮し、感動しました。あれほどの必死さで何かをやったことがあるのだろ
うかと思うと、恥ずかしくもなりました。

 あの感動が「一日一日をきっちり生きよう」という気持ちにつながり、以
来、元気に仕事ができています。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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