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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003/7/8
http://www.asanoshiro.org/                  第96号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「ワールドカップから1年」(浅野史郎)

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 ○「ワールドカップから1年」(浅野史郎)

 あのFIFAワールドカップ2002から、1年が経つ。日本中を興奮の
渦に巻き込んだあの期間は、多くのにわかサッカーファンを生んだ。それま
でサッカーなど見向きもしなかった年齢層の人たちも、オフサイドなどの
ルールはともかくとして、相手方のゴールにボールを蹴り入れればそれでい
いという、単純でわかりやすいゲームに熱狂していた。

 ゲームそのものだけでなく、出場国のキャンプ地も脚光を浴びた。遅刻し
たために、いい意味での注目を浴びたカメルーンは、今年のコンフェデレー
ション・カップで準優勝である。大分県のあの村は、再び興奮で沸いたので
はないか。これも、ワールドカップの残した財産である。

 仙台は、あのイタリアチームがキャンプを張ったところである。いい男ぞ
ろいの粋なチームであるから、人気は沸騰。選手がちょっと町に出て買い物
をするだけで、大騒ぎになった。時あたかも、宮城県がローマ県と姉妹県関
係を結んだ直後ということもあって、宮城県民のイタリアへの関心は、いや
が上にも高まった。

 そして、宮城スタジアムでの3試合である。国の名誉を賭けたレベルの高
いサッカーを、目の前で見ることができたことは、幸運なことであった。し
かも、史上初めての日本代表の決勝リーグでの対トルコ戦。スタジアムで直
接見られなかった人たちも、宮城県で開催されたことには、誇りに近いもの
を感じたのではないか。

 そんな思いを強烈にしたのは、宮城スタジアムの地元利府町の小学生だっ
たろう。前年の国体で見事な鼓笛隊の演奏を見せた利府小学校の面々をはじ
め、それぞれの学校が出場国の人たちを、素朴な気持ちを込めて心から歓迎
した。

 この6月末、宮城県では、ワールドカップ1周年を記念する行事を開催し
た。シンポジウムでは、長沼健日本サッカー協会最高顧問の講演、そして、
私も参加したディスカッションを行った。いずれも、ワールドカップの開催
が残した財産の大きさと、それをこれからどうやって守り育てていくのかと
いうことに触れるものであった。国を思う誇りの気持ち、外国の人たちを迎
える温かい心、ボランティア活動の飛躍的拡大、スポーツ文化の広がりなど
など、金銭には換算できない、大きな財産である。

 最も大きかったと私が思うのは、お隣韓国との緊密な関係である。急逝さ
れた高円宮殿下がおっしゃっていたとおり、韓国はこれまでは近くて遠い国
であったが、今回のワールドカップ共同開催を通じて、少なくとも、近くて
遠くない国にはなった。その意味でも、今回の共同開催は、当初こそ妥協の
産物とか、中ぐらいのめでたさとか言われていたが、結果的には、大ヒット
になったのではないかと思う。

 今回の1周年記念行事として、シンポジウムの他に、日韓のゲームを行っ
た。場所は、当然ながら、あの宮城スタジアム。48,000人とまではい
かなかったが、2万人の観衆を集めて、韓国水原(スウォン)市の水原高校
チーム対宮城県高校選抜の試合と、日韓OB戦が行われた。試合結果は、そ
れぞれ、3対4、0対2で韓国勢の勝利に終わったが、見応えのある、好試
合であり、2万人の観衆も大満足であった。

 私はOB戦を観戦したが、動きもやる気も現役選手とそれほどの遜色はな
い素晴らしい試合であった。試合開始直後から、本気でぶつかり合う白熱の
戦いでさえあった。さすがに、30代後半から40代の選手たちで、後半は
疲れが見えたが、最後まで集中力はとぎれることはなかった。この世代の韓
国チームは、現役当時は、日本代表を圧倒的に上回る実力を持っていたわけ
で、それを考えると、日本代表OBは善戦したとも言える。

 残された目に見える財産が、このOB戦も行われた宮城スタジアムである。
長沼健さんが講演で、図書館、博物館、美術館と同じように、そもそもこう
いった施設が黒字になるわけがないとおっしゃっていた。施設をしっかりと
有効に使って、スポーツ文化を広げることこそが、これからの任務であると
いうことである。まさにそのとおり。今回の1周年記念市試合の開催もそう
であるが、こういった形も含め、有効な利用を図っていかなければならない。

 目には見えない財産については、既に書いたが、韓国との関係をさらに深
めていきたい。市民レベルでの交流がますます大事になるだろう。今年開催
した日韓戦は、来年は、韓国でやれないだろうか。そんなことも含めて、知
恵を出すところは多くある。

 長沼健さんの話では、がんばれば、2050年までには、もう1回、日本
でのワールドカップ開催はあり得るとのこと。2050年なら、私は102
歳。この目で地元での試合を見ることができないことはない。その時には、
若い者たちに2002ワールドカップのことを、昔話として語ってやること
になるのだろう。今から、それが楽しみである。

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> [編集後記] <

 私も仕事やボランティアで昨年のワールドカップに携わりました。もう1
年かと思うと、ちょっとした寂しさとともに、あのイベントに関われた「誇
り」のようなものを感じました。

 すっかりサッカーファンとなってしまった私ですが、次の日本開催の時は
どのように関わっているのか楽しみです。

 それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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