浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003/4/15
http://www.asanoshiro.org/ 第84号
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> ＜＜目次＞＞ <
[週刊コラム・走りながら考えた]
○「統一地方選挙の結果」（浅野史郎）
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○「統一地方選挙の結果」（浅野史郎）
統一地方選挙の結果が、４月１３日に出た。イラク戦争の報道がニュース
のトップという状況がずっと続いていたが、この日ばかりは、選挙結果に指
定席を譲った。イラクでは、こういった「民主的な」選挙は行われてこなかっ
た。この日の日本のように、地方選挙までもが、このように整然と、厳正に
行われているということ自体が、国民全般とすれば、喜んでいいことで、ま
た誇りにすべきことなのかもしれない。
にもかかわらず、そのありがたさ、大事さが、有権者には正しく認識され
ていない。その結果としての、投票率の低さである。宮城県議会議員選挙で
５３．７５％、仙台市議会議員選挙で４７．５８％。いずれも、戦後最低記
録を更新である。必ずしも、「激戦」とは言い難い選挙区も多かったので、
有権者の関心を強く呼び起こすに至らなかったという事情もある。となると、
悪いのは、有権者でなくて、候補者（難）のほうなのか。
県議会選挙では、現職の議長、元議長、そして、最大会派の会長という大
物が落選した。だから、結構厳しい選挙ではあったのである。新人は８人。
２０数人の新人が誕生したこともあったことを考えると、格段に少ない。し
かし、こういった新人議員が、既成概念にとらわれない議会を作っていって
くれるのだろうという期待がある。
目を県外に転じると、知事選挙と政令市の市長選挙が数々の話題を提供し
ている。私が応援した、神奈川県の飛鳥田一朗氏、三重県の村尾信尚氏が、
ともに３位で涙を飲んだ。候補者としては、素晴らしい人材であるのだが、
選挙は総合力。それだけでは、勝てない。残念であるが、結果を受け入れざ
るを得ない。
東京都では、石原慎太郎氏が圧倒的な得票で再選を果した。３００万票は
取り過ぎではないか。決して、やっかみではないが、これだけ取ると、精神
の均衡を保つのが容易でなくなるのではないかと、心配してしまう。
わが第二のふるさと、北海道の知事選挙も、ひそかに気になっていたが、
高橋はるみ氏が接戦を制した。４人目の女性知事ということが話題になるが、
大阪府の太田知事、福岡県の麻生知事、大分県の広瀬知事（今回初当選）を
加えて、４人目の経済産業省出身知事の誕生であることも特筆すべきである。
彼女を含めて、今回選ばれた１１人の知事のうち、実に７人が中央官僚出身
となる。同じく中央官僚出身の私としては、違和感は全くないが、見る人が
見れば、なにか言いたくなるかもしれない。
同じく第二のふるさと札幌市の市長選挙は、なんと再選挙となる。勝者が
いないという意味では、誰にとっても、悪夢である。有権者にとっても、そ
して納税者にとっても、再選挙に６億円の費用がかかるというのは、悪夢で
ないはずがない。しかも、再選挙は上位４人までといった制限はないのだか
ら、論理的には次の選挙でも２５％以上の得票の候補者がいない事態も考え
られる。制度の欠陥と言うしかない。嘆かわしいことである。
政党の推薦を断って、無党派選挙を戦った候補者、そしてそれで当選して
しまう候補者が多数出ているのが、今回の知事選挙の特徴と言われている。
２回目、３回目の宮城県知事選挙での私がそうであったので、これまた珍し
い現象とは思わないが、こういった傾向が定着したことには、いささかの感
慨を覚える。選挙を有利にするための作戦と見るべきではない。まさに、候
補者となった人の全存在を賭けた決断である。政党の影が薄くなったという
のは、その結果であって、いい悪いを論じるようなことでもあるまいと思う。
選挙そのものよりも、当選後の知事としてのありようとして、どれだけフ
リーハンドを確保するか、どれだけ本気で県民と直接向かい合えるか、そん
なことのほうが大きい。
いろいろなことを雑多に述べてきたので、まったくまとまりのないコラム
になってしまった。ともかく、こうやって正々堂々と選挙が行われ、そのこ
とをみんなが話題にできることは、それほどあたりまえのことではないこと
に、あらためて思いをいたして、この稿を閉じたい。
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> ［編集後記］ <
「選挙」というものがあまりにも当たり前すぎて、選挙カーから聞こえて
くる候補者の名前に辟易していましたが、改めて考えてみるとすごいことな
のでしょう。
しかし、公職選挙法は改善する必要があると思います。やっぱり、選挙カー
での名前の連呼は、投票する（私の）気持ちを萎えさせてしまいます。
それでは、来週の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 （一馬）
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