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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/8/20
http://www.asanoshiro.org/                  第50号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「うそつき食品」(浅野史郎)

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 ○「うそつき食品」(浅野史郎)

 わが宮城県は、今日8月20日、韓国産かき混入問題についての調査の最
終報告を発表した。韓国産かきが、宮城県産かきとして市場に出されている
のではないかという疑惑から発した調査である。宮城県内のかきの仲買業者
に対して、プロジェクト・チームを組んですべて実地に調査をするという、
大掛かりの体制で実施した。

 宮城県産かきのブランドを守ることは、生産者にとっては死活問題である。
「本当に宮城県産なのか」といった疑いを残したままで推移することは、宮
城県産かきのブランド信用力を地に落とすことになる。生産者の間には、そ
ういった危機感があったはずである。

 「あったはず」と書いたのは、ここに至って、その危機感がどの程度ほん
ものなのか、少し疑問に感ずるところがあるからである。ここで踏ん張らな
ければ、宮城県産かきブランドが消滅しかねないという実態を直視しなけれ
ばならない。消費者は怒っている。消費者は、賢くなっている。この事実を
忘れてはならない。

 今回の、韓国産かき混入問題に関する調査では、240トンにのぼる韓国
産かきが宙に浮いている。混入を認めた業者以外にも、調査では口を拭って
いたが、実際は混入をしていた業者があったということを示唆している。い
わゆる灰色業者の存在。いずれ、引き続きこういった業者について、白黒を
はっきりさせる調査を継続しなければ、不正の事実を「自白」した業者との
バランスが取れない。

 その意味では、日本ハムグループの「牛肉偽装問題」は他山の石である。
日本ハムは、BSE対策としての国産牛肉買い取り制度を、いわば「悪用」
して、外国産牛肉を国産牛肉と偽り、不当に補助金を受け取っていた。「う
そつき食品」が市場に出回ったわけではない。にもかかわらず、この不祥事
の発覚だけで、大手のスーパーは、日本ハムの製品を店頭に置くことを拒否
したのである。こういった「うそ」をつくような会社の製品は、安全面でも
「うそ」があるかもしれない。信用できない。消費者に提供することはでき
ない。こういった論理なのだろう。

 これより先に、雪印食品は、同様の不正発覚で、ついには会社自体の存在
を失うに至った。扱っているのが、食品ではなく、他の製品であったらここ
まではいかなかったかもしれない。消費者にとっては、食品は、やはり、特
別な商品であるということであろう。

 一方において、中国産農産物の残留農薬問題が、このところ注目されてい
る。一体どの作物にどんな農薬が使われているのか、最終消費者には全然わ
からない。消費者だけではない、流通業者にもわかっていないようである。
これでは、安心して食べるわけにはいかないではないか。こと食品に関して
は、安ければいいというわけにはいかない。ちゃんとした素性が明らかになっ
ていることが、どうしても求められる。残留農薬問題だけではない。中国産
農産物について、ここにきてやっと本来のあるべき姿に戻ったと言うべきだ
ろう。

 生産地がどこかについても、消費者は、表示を信用するしかないのだが、
本当に信用していいのかどうか。南魚沼産コシヒカリのブランドのお米が、
本来の生産量の何倍にもなって出回っている。松坂牛として売られている牛
肉が、別な産地のものだったり。そんな例は枚挙にいとまがない。わかって
いるだけで、このとおりだから、密かに出回っているにせ表示は、一体どれ
だけになるのだろうか。

 宮城県産かきのブランド堅持の問題に戻る。こういった「うそつき食品」
が横行している状況下で、どのように対処していくべきか。目の前の利害に
のみとらわれてはならない。「ばれないのだったら、しばらく黙っていよう」
という対処の仕方で墓穴を掘った例は、あそこにも、ここにもあるではない
か。「適時適切な情報公開は、転ばぬ先の杖。結局は、身を守る」というこ
とを、改めて想起すべきである。長い目で見て、どっちが得なのか。単なる
倫理観の問題だけではない。

 それにしても、消費者あっての生産であるという基本をはずしてはならな
い。しかも、消費者は、無知でもの言わぬ存在であるという前提は、全くあ
てはまらないことも、身にしみて認識しなければならない。ここで、「消費
者」を「県民」に、「生産」を「行政」に置き換えても成り立つことに気が
付いたが、それはそれ。「うそつき食品」を市場から駆逐するためにやるべ
き課題は、まだまだある。県政の課題としても、積極的に取り組んでいかな
ければならない。

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> [編集後記] <

 一人暮らしのため、自分で食材を選ぶときに、産地表示を見るようにして
います。が、それが当てにならない世の中。ということで、もはや「価格」
だけで選ぶようになり、家計は楽になっても、将来の不安は増えるばかり。

 とはいえ、ご飯と納豆とみそ汁だけの食事なので、大豆の安全性だけ考え
ればいいのですが・・・。

 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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