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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/6/24
http://www.asanoshiro.org/                 第42号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「鈴木宗男議員の逮捕」(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「鈴木宗男議員の逮捕」(浅野史郎)

 鈴木宗男衆議院議員が、6月17日、製材会社「やまりん」からの賄賂を
受けたという、あっせん収賄の容疑で逮捕された。その後、国会に対する逮
捕許諾請求への許可、衆議院による議員辞職勧告決議案の採択と、関連の動
きが矢継ぎ早であった。逮捕されるかどうかより、いつ逮捕されるかという
問題になっていたことから、逮捕そのものには意外性はなかった。それにし
ても、手回しが良過ぎるとの感じが拭えない。

 鈴木議員は、ニュースだけでなく、テレビのワイドショーでも「悪役」で
あった。手広い口利き、大声での恫喝、利権あさりなどなど、極悪非道のイ
メージがどんどん増幅していった。こんな議員は、逮捕するのが正義という
のが、国民的な声の如くなってしまった。そして、それに応じるような形で、
検察による逮捕へと結びついたような印象である。

 今回の逮捕劇は、大衆への受けを狙うショー的な色彩があるといったら、
ちょっと言い過ぎかもしれないが、今回の検察の動きは、巨悪を暴くという
類のものではない。国民一般の催促に、検察がタイミング良く応えたような
形である。

 鈴木議員が国会議員を目指した時、一体どんな「初心」があったのだろう
か。具体的に、誰がモデルだったのだろうか。国会議員をやっているうちに、
いつの間にかこんなふうになってしまったというのとは、多分違う。ロール
モデル(Role Model)という、自分の役割のひな型があったはずで、それを
追い求めているうちに今回の事件にたどり着いたということだろう。

 こういった見方からすれば、今回の事件は、決して、鈴木宗男議員の個人
的な問題に帰するようなものではない。「あの人は、特別だから・・・」で
は済まされないということである。特別だったのは、鈴木議員の動きが目立
ち過ぎたということだし、簡単に言えば、「やり過ぎ」ということだろう。
「鈴木もどき」は他にもたくさんいる。だとすれば、彼のような存在を生ん
だ土壌そのものが、問題にされなければならない。

 国会議員の役割は、国のお金や仕事を獲得するためのパイプであり、その
パイプの太さ、立派さが議員の価値を決める。こういった認識が、地元の側
にも根強く残っていることが、「鈴木もどき」の再生産につながる。地元の
意識の問題だけに還元するのも正しくない。そもそも、パイプの役割を無意
味にするための、権限、財源の地方への移譲、つまり地方分権が解決の処方
箋の一つである。

 選ぶ側の責任も、当然ある。有権者がどういった人を国会議員に選ぶか。
候補者について、本当の、ホンネのところでの「初心」を見抜くことが求め
られる。「あなたは、ほんとのところ、どうして国会議員になりたいのです
か、どういった国会議員になりたいのですか」にどう答えるか。候補者が、
それまでどういった道を歩んできたのか、出自ということも、一つの答を示
してくれるだろう。

 鈴木宗男議員の逮捕は、実は、すべての人に大きな問題を突きつけている。
やっと逮捕された、よかった、よかったなどと、溜飲を下げて終わりといっ
たことではない。二度とこのような不祥事を起こさせないために、一人ひと
りが何をできるか、そんなことを真剣に考える契機にしなければならないと、
強く思う。

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> [編集後記] <

 宮城でのワールドカップの試合は終わってしまいましたが、大会は、いよ
いよ佳境の準決勝です。日本代表は惜しくもベスト8は逃しましたが、今の
日本に新しい風を起こし、スポーツの可能性を見せてくれました。

 韓国代表が台風の目として活躍しています。日本代表の分も頑張って欲し
いものです。

 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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