宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/4/22
http://www.asanoshiro.org/                 第33号
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> <<目次>> <

 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「官房機密費と情報公開」(浅野史郎)

 [お知らせ]
  ○「とっておきの音楽祭」が本になりました。
  ○メルマガ登録者、相互リンク募集中です。

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「官房機密費と情報公開」(浅野史郎)

 官房機密費の私的流用が問題になっている。「問題になっている」とは
いっても、一過性のものであって、あっという間に沈静化するかもしれない。
それはともかく、私とすれば、「さもありなん」という種類の問題であり、
情報公開のありかたを考察するための、格好の「例題」であるので、取り上
げてみたい。

 きっかけは、共産党の示した金銭出納帳である。加藤紘一さんが官房長官
であった時期のもので、日比谷高校の同窓会費をはじめ、パーティーへの寄
付、高級背広代、餞別などなど、とても官房機密費として税金から支出する
ようなものでない費目が含まれている。

 そもそも、今回出された金銭出納帳なるものの真偽も確かでない。それが
真実だとしても、そこに書かれている支出は、まったくもって許されないと
非難するつもりもない。問題は、「機密費」という名の下に、その内容が
「機密」のベールの中に奥深くしまわれていることであることを指摘したい。

 国家機密、安全保障・外交上の秘密、犯罪予防・捜査遂行上の秘密、こう
いった説明がなされると、外野席は「ははー」と恐れ入ってしまう。つまり、
そういったことに関する情報は、白日の下にさらされることはないものと
思ってしまう。

 「思ってしまう」のは、外野席のマスコミや国民だけではない。「非開示
は当然である」という認識を、情報を持つほうが確信する。そうなると何が
起こるか。私の実感からすれば、底知れない腐敗である。お金の使い道につ
いて、「どうせ知られるはずがない」と確信すれば、自己規制が働きにくく
なること、ものの道理である。留意すべきは、そういったお金を扱う人の心
がけとか倫理観といった次元で、どうこうなる種類のものではないというこ
とである。システムとしての秘密性からくる、いわば必然ととらえなければ
ならない。

 単に「知られるはずがない」というなら、密室での秘め事のようなもので
ある。これに権力が加わると、さらに腐敗の可能性が高まる。お金を使うほ
うに、そのお金を使うことを正当化する権限がある場合のことを言っている。
官房機密費は国家そのものの権力を前提にしている。外交上の秘密もしかり。
犯罪捜査の権限は、一般人は持ち得ない。警察権力が根本にあってのもので
ある。 

 宮城県情報公開条例の改正をめぐって、2年ほど前に、宮城県議会におい
て、私と県警本部長の間で「派手な」論争が展開された。その論争をしてい
る最中にも、上に書いたようなことが私の念頭にあった。「機密」、「秘密」
の正当性に安住して、情報公開の基本的なルールまでも特別扱いしていいの
かどうか。もっと言いたかったのは、その「安住」のつけは、結局は、機密・
秘密で守られていると思っていた組織に回ってくるということである。外交
機密費問題で、外務省がいかに傷ついたか、いまさら指摘するまでもない。

 その外務省についていえば、情報公開をもてあそんでいないか、大いに気
になる。厳重に秘密扱いされるべき資料が、鈴木宗男議員の旧悪を暴くため
に、どんどん秘密解除されて開示された。だったら、そもそも当初の「秘密
扱い」はなんだったのか。国民の側から、別種の文書の開示請求があった際
に、今回の鈴木宗男議員関係文書を「開示」にした判断と比較されて、「非
開示」とはしにくくなるというリスクを認識していたのだろうか。

 本題の官房機密費問題。小泉首相も開示に向けての検討を指示したと言わ
れているので、その推移を見たいと思う。官房機密費が不要だというのでは
ない。すべて内容を開示せよというのでもない。国民から見ても納得される、
ちゃんとした開示・非開示のルールを策定せよということに尽きる。

 国の情報公開法が施行されて、やっと1年が過ぎたばかり。いわば、新入
生がやっと小学2年生になったという段階である。まだまだ学ばなければな
らないことは、数多くある。勉強をするなら、今すぐがよい。

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> [お知らせ] <

 ○「とっておきの音楽祭」が本になりました。

 障害のある人もない人も一緒に音楽を楽しみ、音楽で心のバリアフリーを
目指す「とっておきの音楽祭」が本になりました。是非、お手にとってご覧
下さい。

『音楽でバリアを打ち壊せ』
 岩波ジュニア新書 780円
 菊地昭典 著   千坂コウイチロウ 写真
 2002年4月20日発売

<内容>(とっておきの音楽祭ホームページより転載)

 10月8日あの日のあの感動が本として甦りました。書いたのは実行委員
会の企画プロデューサーである菊地さん、写真はプロの写真家であり実行委
員の千坂さんです。

 初めての試みにとまどい、時には激論を交わし時には感涙し、準備をすす
めていく市民ボランティアの実行委員たち。福祉シロウトの著者が自分の心
のバリアに気付き、悩み、その原因を探っていきます。

 養護学校の生徒たちとの心温まる交流。心のバリアフリーを熱く訴える
ミュージシャンたち。そして10月8日、ストリートステージでの障害のあ
る人とない人の共演は、街往く人たちの心に響きました。

 小雨が降り冷え冷えとしていましたが、街はあたたかい空気に包まれてい
ました。躍動感のある写真と内容、感動がいっぱいつまったこの本をご一読
ください。

詳しくはこちらから
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/50/6/5003960.html

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> [編集後記] <

 毎週、好調ベガルタのことを書くことができて、とってもうれしいです。
昨日の試合も勝ちました。ベガルタ仙台のフォワード、山下選手は二得点で、
日本代表のスタメン候補に、素晴らしいアピールができたようです。

 前回のメルマガでは、『負けたとしても応援に』などと書きましたが、杞
憂で済みました。会場には19000人近い大観衆。東京FCサポーターとの素晴ら
しい応援合戦には、素直に「いい試合だったな」と感じられました。

 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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