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浅野史郎メールマガジン バックナンバー

浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2002/4/1
http://www.asanoshiro.org/                 第30号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「加藤紘一議員とお金」(浅野史郎)

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <

 ○「加藤紘一議員とお金」(浅野史郎)

 加藤紘一衆議院議員が窮地に陥っている。加藤事務所の佐藤三郎前代表が
脱税容疑で逮捕、続いて起訴。そして、今回明らかになった加藤議員自身の
政治資金流用疑惑、脱税容疑。それぞれの段階で、議員辞職という判断をす
る契機はあったのにもかかわらず、ついにここまで来てしまった。

 事務所の代表であり、資金管理団体の会計責任者であった人のやっていた
ことを知らないというなら、そのこと自体が大きな問題である。集めた金額
の大きさが尋常でない。これだけの大金をどなたから、どうやって集めたの
か、議員自身が関心を持たないほうがおかしい。「知らなかったから、自分
には責任がない」のではなく、知らなかったこと自体が大きな責任であるこ
とを認識しなければならない。

 事務所とか、資金管理団体のやっていること、特にお金に関することにつ
いて、議員自身が把握できないようなら、そんなお金は集めないほうがいい。
後援会組織も同じである。議員自身のコントロールがきかないような組織は、
有害無益。その辺の厳しさが求められる。にもかかわらず、「知らなかった
んです、寝耳に水です」というのが言い訳になると思う感覚が理解できない。

 加藤議員は、私にとっても尊敬すべき政治家である。政策に明るく、手練
手管の政治ではなく、堂々と正論で政治を進めていこうという意欲が感じら
れた。だからこそ、今回のことはまことにもって残念至極である。加藤議員
本人の将来にとって残念というだけでない。お金に関して、彼でさえこうい
うことになっている。となれば、政治家一般のお金の問題について、国民一
般に大きな疑念と不信を抱かせることになるだろう。そういうことも含めて
残念なのである。

 政治家にとって、一体何にお金がかかるのだろうか。選挙? 政治活動一
般? 私腹を肥やすのなら別だが、選挙や政治活動にお金がかかるのは当然
だから、金集めもそういう文脈の中では「当然のこと」とされている。政治
家仲間の間だけでそういう認識があるのではなく、国民一般も「そうだろう
な」と思うところに問題の発端がある。

 8年前に、私がふるさと宮城県知事選挙に出るかどうか迷っている時、心
配の種の中で大きなものに、選挙にかかるお金のことがあった。私に「選挙
に出てはどうか」との話を持ってきた地元のQ氏にそのことを言ったら、
「心配いらない。知事になったらいくらでも返せるから」との答が返ってき
た。それを聞いて、Q氏の言うことを聞いては絶対にダメと思った。

 「出直し知事選挙」なんだぜ。前知事がゼネコン汚職で辞任したあとを受
けての選挙なんだぜ。その選挙のやりかたも、そして知事になったあとのお
金の調達方法も、昔と同じ手法がまかり通ると思っている人が関わる「出直
し」に一体どんな意味があるのだろう。Q氏に向かっては、その言葉はぐっ
と飲み込んだが、政治家とお金の問題に関して、「常識」の存在を実感した
瞬間であった。このことこそが、政治家とお金の問題に関しての私の原点で
ある。

 私には、加藤紘一議員にとっての佐藤三郎元代表とは正反対の任務を果し
てくれる「側近」がいた。Q氏のような人達を寄せつけない、「浅野には、
「政治家とお金」に関する「常識」は通用しない」ということを徹底させる、
そういった任務を果たしてくれる「側近」である。「自然体」だけでは、政
治とお金に関わる「常識」を振りかざして迫ってくる勢力をはねつけること
はむずかしい。相当のエネルギーを必要とする。私にとっては、お金集めの
エキスパートではなく、はねつけるエネルギーを持った人材のほうがずっと
ずっと大事な存在である。

 ともあれ、日本の政治のありようにとって、この数ヶ月の動きがとても重
要である。鈴木、加藤、辻元各議員の抱えた問題。それを政治の専門家たち
がどう裁くか。マスコミ、識者たちがそれをどう整理していくか。それを注
視する国民が、最終的にどういう審判を下すか。渦中の加藤紘一議員には、
自分自身の抱える悩ましい問題状況の中だからこそ発し得る、新しい政治へ
のメッセージを期待したい。ひょっとしたら、自分の存在意義を示す最後の
機会なのかもしれないのだから。

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>=== [訂正・先週号コラム「BSE問題における国の責任」] ===<

 先週号のコラム「BSE問題における国の責任」の中で、『土地改善事業
といった、・・・(第七段落)』とありましたが、『構造改善事業といった、』
の間違いです。
 掲載の際、編集の不手際での誤字です。皆様には、ご迷惑をおかけいたし
ました。

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> [編集後記] <

 先週号のコラムで大失敗してしまいました。失敗の内容は上の[訂正]で
すが、勝手な思いこみで文字を編集(改ざん)してしまいました。自分の知
識など、多寡が知れているのにも関わらずです。本当に、申し訳ありません
でした。

 「過ちを認めること」はとても辛い行為です。しかし、「過ちを認めない
こと」で守ろうとするものよりも、もっと大きなものを失わないためにも、
きちんと認めるべきなのでしょうね。

 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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