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浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2002/3/18
http://www.asanoshiro.org/                 第28号
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 [週刊コラム・走りながら考えた]
  ○「鈴木宗男議員問題と地方分権」(浅野史郎)

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 ○「鈴木宗男議員問題と地方分権」(浅野史郎)

  週末に札幌に行ってきた。北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教
育研究センター主催の公開シンポジウムで、基調講演とパネルディスカッショ
ンをするためである。テーマは、「情報公開から地域民主主義へ」というも
の。時節柄と場所柄ということもある。話はどうしても、地元出身の鈴木宗
男議員へと向いてしまう。

 同席の宮脇淳教授、山口二郎教授の議論は、鈴木宗男議員のやった地元へ
の利益誘導も、しょせんは国が補助金配分の財源を握っているということか
ら生じているということであった。私も、全面的に同感。

 国会議員の役割の中で、とりわけ大きいものが、国と地元との財源のパイ
プということと、国会議員本人も周りも信じていることにこそ、現在の日本
の大きな問題がある。財源の上からも、地方分権を進める必要があると強く
感じる。

 国の各省庁が持っている補助金の箇所づけ。箇所づけとは、ある施策に関
しての補助金を、どの県のどの事業に配分するかを決定することである。そ
の判断は、各省庁の各課の担当が行なう。その判断に裁量の余地がある。だ
からこそ、地元に箇所づけをするようにと、地元の国会議員が口利きをする
ことが起きる。

 鈴木議員は、逆もやったと報じられている。つまり、「自民党議員を落選
させた」選挙区の町村の事業に、補助金をつけるなと関係省庁に圧力をかけ
たとのこと。「つけるな」も、「つけろ」も同じことである。要するに、そ
ういう判断を左右できるといういことであるから。

 そんな不明朗なことが生じ得るのは、もともとは、各省庁が補助金を握っ
ているからである。そういった補助金が、本当に必要なのかどうか、本気で
吟味がされなければならない。「必要か」というのは、その事業が必要かと
いうことではない。始めから県に財源として渡しておいてもいいのではない
か、補助金分配というシステムでやらなくてもいいではないかということで
ある。

 補助金の箇所づけの際の口利きこそが、自分にとって大事なビジネスと考
えている国会議員にとっては、多分、財源の地方分権ということには本音で
は反対なのではないだろうか。だって、ある事業を執行するための財源が地
方交付税という形で、最初から県に分配されて、補助金はなしにするという
ことになれば、補助金配分の口利きビジネスはなくなるからである。

 財源の地方分権を進める、役目が終わった補助金は廃止するということを、
早急に進めなければ、「補助金は人の金、だったら取ってこなけりゃ損、使
わなきゃ損」という、国を上げての財政的無責任体制は打破できない。こう
いった論点について、大多数の国民は、ほとんど関心がないというのが、私
の実感であるが、今回の鈴木宗男議員問題の中で、この問題に結構関心を集
めることはできる。その意味では、今回の鈴木宗男議員の問題は、「禍を転
じて」ということになるのではないか。

 北の都でのディスカッションの間、そんなことを考え続けていた。

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という申し出がありました。大変うれしいことで、これでまた読者が増えて
いくものと思います。

 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。 (一馬)

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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局 渡辺一馬


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