宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

浅野史郎メールマガジン バックナンバー



浅野史郎メールマガジン ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2001/08/27

http://www.asanoshiro.org/                  第2号

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         浅野史郎メールマガジン第2号です。

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> <<目次>> <



 [週刊コラム・走りながら考えた]

  ○製造業の復権(浅野史郎)



 [お知らせ]

  ○佐藤豊氏出版記念講演会開催のお知らせ(8月30日)

  ○このメールマガジンをお知り合いにご紹介下さい



 [ゲストインタビュー]

  ○千葉県知事 堂本暁子氏

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> [週刊コラム・走りながら考えた] <



 ○製造業の復権(浅野史郎)



 25日(土)の日本経済新聞で報じられているが、東芝が半導体メモリー

事業を分離して、他社との事業統合を目指し、独、韓国大手と交渉する。家

電などを含め国内で一万人を超す削減や生産子会社の統廃合に着手するとの

こと。



 同じ日の朝日新聞の報道では、「東芝、二万人規模削減へ」となっている。

さらに、朝日では、日立製作所も大がかりな組織再編と人員削減に踏み切る

方針としている。すでに、富士通が1万6千人、NECが4千人の人員削減

を打ち出している。



 これらは、IT不況の影響をもろにかぶったものであるが、日本が得意と

していた製造業からの撤退と見ることもできる。リストラであるから、一時

的なもので、業況が好転すればまた盛り返すことになると考えることもでき

るが、そうは簡単にいかないであろう。まさに、製造業全体の危機である。



 製造現場の海外移転によって、日本の製造業の空洞化がどんどん進んでい

る。宮城県など地方に進出していた工場の縮小、閉鎖という形で、我々の地

域はもろに影響を受ける。日本の製造業に明日はないのだろうか、そういっ

た不安さえ芽生えてくる。



 「そんなことはない、製造業において日本はまだまだ競争力を強化するこ

とができる、まさに、今が大事な瀬戸際である」と力説するのは、東北大学

の大見忠弘教授である。私も、大見先生から直接ご高見をうかがって意を強

くし、同時に、危機感を覚えた。今なすべきことは何なのか、これに対する

答と、対応策を早急に用意しなければならない。



 製造コストの革命的な削減が、まずは、目標にならなければならない。大

見先生の構想では、敷地、消費電力、製造期間を何十分の1にして、コスト

を飛躍的に下げることが可能とのことである。この構想の実現を心から期待

したいし、宮城県としてできることがないかも考えていきたいと思う。



 コスト削減と言えば、農作物も同じである。韓国、中国、東南アジアから

安くて質のいい野菜や花卉が日本にどんどん流入してきている。水際でこれ

を抑えるということはほとんど無理であろう。となると、日本の農業、宮城

県の農業を守るためには、堂々と迎え撃たなければならない。戦う武器とし

ては、コスト削減しかないことになる。



 相手は、農作物を作ることを「植物工場」と心得て、低コストで大量に生

産物を送り込んでくるところである。こちらも、植物工場的な発想とシステ

ムを持たなければならない。そのためにどうするか。まさに正念場である。



 21世紀の地方の問題は中国問題と言い換えてもいいぐらいである。中国

に象徴される、日本の周辺で急速に生産力を高めている国の攻勢にどう対処

するかへの回答なしには、地方の存立はむずかしい状況を認識しなければな

らない。



 農業を宮城県としてはしっかり残していく必然性がある。IT関連を中心

とする製造業も同じである。今までと同じことをしていたのでは、勝ち目が

ない。東北大学を始めとする研究者の力と知恵も借りながら、攻めに転じる

ための処方箋を早く用意したい。

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> [お知らせ] <



 ○佐藤豊氏出版記念講演会開催のお知らせ(8月30日)



 浅野史郎も登場した、佐藤豊氏の対談集『「革命」にかける7人の男達』

の出版記念講演会が、来る8月30日(木)県民会館大ホールで行われます。

浅野史郎は第一部に出演いたします。多数のご来場をお待ちしております。

 (入場料2000円で、当日券もございます。詳しくは、

   http://www.asanoshiro.org/news/seven.htm

                   をご覧下さい)



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 ○このメールマガジンをお知り合いの方にご紹介下さい。



 現在、このメールマガジンの登録者数は約320人です。創刊号当時の登録者

の方が、まわりの皆さんへと広めていただいた結果です。いくつかの新聞に

も取り上げていただきましたので、登録者数がどっと増えました。

 広めていただいた皆様、本当にありがとうございます。



 このメールマガジンを通じて、より多くの方と双方向のコミュニケーショ

ンを行いたいと考えています。どんどん意見をお寄せ下さい。



 ご紹介の際には、以下のアドレス

 http://www.asanoshiro.org/news/mmz.htm をお伝え下さい。ここから登録

が出来ます。



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> [ゲストインタビュー] <



 ○千葉県知事 堂本暁子氏インタビュー



 三人目の女性知事になるとはあの時は思っていませんでした。知事選の時

は、浅野知事からの手紙をずっとカバンの中に入れて、一ヶ月持ち歩いてい

ました。



 浅野知事との出会いは20年前で、その頃私はTBSの報道局の記者でした。

ベビーホテルのキャンペーンでアメリカに行った際、当時ワシントンの大使

館に勤務されていた浅野知事にアメリカの厚生省や、いろいろな所全てにス

ケジュールを決めていただき、ジャーナリストと厚生省の人というのが最初

の出会いでした。



 帰国した浅野さんは、厚生省の障害福祉課の課長を生き生きとやっておら

れました。人生のやりがいを感じているというか、あれだけ障害者から好か

れ、頼られ、期待された課長は他にはいないと思います。多分役所の方は相

当戸惑ったのだろうと思います。大胆に障害者側の言い分をお聞きになり、

どんどん政策展開をしていました。そこは今でもちっともお変わりになりま

せんが、あれだけ現場へ出て行き、障害者の方と直接に話し合うというのは、

日本の役所としては非常に珍しい方だと思います。



 のちに浅野さんは『厚生省に入ったのは、障害福祉課長になることが目的

だ』ということを聞き、今でもその言葉が鮮烈に私の中に残っています。

『ああこういう志をもって厚生省に入る方がいるのだなあ』と思いました。

私は浅野課長のような厚生官僚が存在したということが、どれだけ日本の障

害者に勇気を与えたか計り知れないと思っています。

 

 12月になり、千葉県の知事選の話が私のところに青天の霹靂のように突然

舞い込んで来ました。すぐに浅野知事と話したいと思い、お電話しました。

浅野知事は『まぁとにかくうるかしておくといい』と言いました。私は意味

がわかりませんでした。“うるかしておく”とは東北の言葉で放っておきな

さいということでした。丁度、正月の休み前のことでした。浅野さんは「休

みの間に、自分の中で本当に知事になる気があるのだろうかということ。そ

の責務を担う気があるのかということ。そして自分を擁立しようとしている

人たちが本気かどうかということ。これがきっと分かってくると思う」と最

高のアドバイスをいただきました。政党の支援を受けない選挙を行った浅野

知事は、自分が知事になってみて、そのことがどのくらい大事かということ

が分かっていたのだと思います。



 一年ぐらい前に仙台に行った時に、知事の仕事ぶりを拝見したいと思いお

電話したところ、県議会の最中だということで、早速、傍聴しに行きました。

浅野知事は答弁の真っ最中でした。すると私の存在に宮城県の人たちが気付

き、「初めてだなぁ国会議員が県議会を傍聴しに来ることなんて」と言われ

ました。浅野知事は、紙も何も持たずに数字の細かいところまで見事に答弁

していました。知事にぴったりの知事をやっているとその時に思いました。

それ以後に宮城県警本部の事件が起きましたが、私は浅野知事の強情に頑張っ

ている姿、絶対に譲れないという姿勢には感服していました。私もまさか同

じような立場になるとは微塵も思っていませんでした。



 宮城県知事になるということは、230万人県民人生のために生まれ変わ

るということだと思います。「それを放っておくといい」と、浅野知事でな

ければを絶対に頂くことができなかった助言は、『徹底して政党や団体等を

排除して、一見力が無いと言われる普通の人たちの所に軸足を置いて選挙を

なさい。今後の知事の仕事の仕方全部が決まってしまうから』です。もし浅

野知事の助言が無ければ、私は今のような知事にはなれなかった、そして、

選挙さえ勝ちもしなかったのではないかと思います。沢山の言葉は無かった

のですが、浅野知事が徹底してご自分で実践されてきたことにより、ようや

く決心がつきました。



 浅野知事から頂いたお手紙は本当に素敵なものでした。それがすべてのキー

ワードだったように思います。今までは、知事になるというと、特に団体や

業界団体等による金権選挙により業界団体の支援を受けるということが多かっ

たのですが、浅野知事はそれとは全く逆のことを行ったわけです。だから私

たちも勝敗は分からなかったのです。しかし宮城県民と同じように、千葉県

の県民も大変賢く、私達の求めるスタンスを理解して、一票一票投じて下さ

いました。先に走っておられた浅野知事からのリレーのようなものでした。



 これまで浅野さんが作られた知事像が日本中に広がっていくと、日本が本

当に変わるのだろうと思います。浅野知事の障害者の問題に取り組もうとす

る姿勢は、私にも共通している部分です。お互いに話し合ったとこはないの

ですが、障害者、高齢者、子供、または女性など、どちらかといえば元気いっ

ぱいの王道を歩いている権力者たちとは違った存在こそが、本物のある種の

力を持っています。その方たちに立脚点を置いている、そしてそれに対応し

てきたということが本当に短い言葉の中に語り尽くされていました。私もそ

の言葉のおかげでスタンスを真似て走ることが出来ました。



 ワシントンでの出会いから考えると、まさか20年も経って、知事選の応

援をしていただくとは、まさに夢にも思わなかったことでした。浅野知事か

らの手紙は私にのとって宝物となりました。



 浅野知事に対して期待することは、どの県でも共通することですが、健康

的に生きる為の環境の安全保障についてです。環境と食の安全性ということ

が一緒になって生きているので、またご一緒に夢じゃないネットワーク、こ

んどは現実のネットワークを知事同士として協力してゆけたらとても素晴ら

しいことだと思います。それと女性の参加。千葉県庁は非常に女性の管理職

が少ないのです。はやり女性の感性を県の行政の中に入れていく、宮城県は

すでに行っているのかもしれませんが、それが私たちにとっての今後の課題

だと思います。市民や県民の立場に立っている政治家がどのような仕事をし

ているのかだんだん分かった時に、知事像が見えてくると思います。調子の

いいことばかり言って利益誘導するような議員ではなく、本当に県民市民の

立場にたっている知事がどれほど大事なことなのかと日本の有権者が分かっ

た時に、他の国政選挙、市町村選挙等そういうところでも違った影響が出て

くるのではないかと思います。少なくとも私の場合はその影響をフルに受け、

私は浅野レールの上をまっしぐらに走らさせて頂きました。浅野レールの上

をみんなで走るようになると、もう少し日本は住みやすい国になるだろうと

思います。

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> [編集後記] <



 今回の浅野史郎メールマガジンはいかがだったでしょうか。今回は、千葉

県知事堂本暁子さんのインタビューを掲載いたしました。このインタビュー

は、浅野史郎・夢ネットワークの機関誌「夢ネットワーク」の次の号に掲載

予定のものです。



    機関誌「夢ネットワーク」のご購読申し込みはこちらです。

      http://www.asanoshiro.org/network/kodoku.htm



 このインタビューを行ったのは、今年の4月6日。その前日が堂本さんの初

登庁というとてもお忙しい中、貴重な時間を割いていただいてお答えいただ

きました。

 その際、堂本さんが強調なされていた「浅野知事の手紙」。堂本さんが選

挙戦中ずっと持ち続けたその手紙を、来週号で公開いたします。浅野知事の

ポリシーが簡潔にまとめられています。



 それでは、次号の「浅野史郎メールマガジン」をお楽しみに。



                        皆さんのご意見、ご感想をお待ちしております。

                            メールアドレス mmz@asanoshiro.org



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発行:浅野史郎・夢ネットワーク メールマガジン編集局



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