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ジョギング日記 8月第5週分          

2013..8.31.(土)

霞が関北陵会

 浅田次郎の「壬生義士伝」上下(文春文庫)を読了。2000年4月に出版されてすぐに、単行本で読んだものである。「蒼穹の昴」(1996年4月刊)の面白さに感激して以来の浅田ファンとして、出版された本の9割40冊は読んでいる。その中のベストを選ぶのは、まことにむずかしいが、あえて「壬生義士伝」とした。南部藩を脱藩して新撰組に入隊し、「人斬り貫一」と恐れられた吉村貫一郎の生き方を、吉村と関わった人たちが語る。義を貫くことにこだわり、真の武士の生き方を求めて、不格好な生活を送り、不格好な死に様をさらす主人公。最初に読んだ時には、何度も涙で文字が曇った記憶がある。今回は、涙なしだが、感動は同じ。

 「壬生義士伝」に続いて、同じ作家の「勇気凛々ルリの色」(講談社文庫)を読んでいる。これも再読もの。「壬生義士伝」のような真面目一方の小説を書いたのと同じ作家のものとは、とても思えない抱腹絶倒のエッセイである。全4冊のシリーズのうち2冊を読み、3冊目にかかっている。早く、真面目ものに戻りたいのだが、やめられない。

 午後から第5回「霞が関北陵会」。新大手町ビル内の日本フィランソロピー協会の会議室に14人が集まる。一年前の発足した会が、今回で5回目というのも、快挙ではなかろうか。仙台二高を卒業した霞が関役人が7人と現役の大学一、二年生7人。うち一人は、仙台二高が共学になって入学してきた女子学生。

 「吾はいかにして国家公務員になりしか」を先輩役人がそれぞれ語る。国家公務員の仕事の実際を説明する先輩もいる。大先輩(私のこと)は、かなりしつこく、その辺のことを説く。「よかったら、国家公務員になってみたら」ということから、「ぜひ、国家公務員になってくれ。幸せな人生は俺が保証する」に発展してしまう。二次会は、大手町ビル内の「銀座ライオン」にて。これはこれで、昔話に花が咲き、盛り上がった。今日も楽しい時間を過ごした。  


2013..8.30.(金)

委員会は一区切り

 天気予報では、横浜でも最高気温が35℃という猛暑日。朝のうちは、それほどの暑さでもない。散歩に出るのに、雨を心配して傘を持参したが、ラジオ体操の終わる頃には日が出てきて、雨傘を日傘に替えたくなる。昼間、外に出たら、すごい暑さに熱風。8月も末というのに、なんという暑さなのかとあきれる。

 夕刻17時から、厚生労働省で「造血幹細胞移植委員会」に出席。審議も最終段階を迎えて、まとめの時期である。折角のまとめを混乱させてもいけないという良識が働き、今日は批判的発言を封印した。そのせいもあってか、「基本方針」の原案は審議会として基本的に了承ということになった。したがって、今回で一連の審議は終了。小澤敬也委員長から委員の協力に感謝するご挨拶があった。その中で、「浅野委員のユニークなご意見で、審議が盛り上がったことに感謝いたします」と名指しでほめられた。よく考えれば、これは相当の皮肉なのかともとれるのだが、素直に受け止めよう。委員会が跳ねて、恒例により、有志の委員と虎の門の居酒屋で反省会。鎌田麗子委員、辰井聡子委員と関係団体ヒアリングで出席の橋本明子さんご夫妻とで、軽く一杯となる。口々に「委員会が終わって寂しい」、「毎回、委員会は面白かった」と言い合った。こういう審議会は珍しい。早い時期の再開を誓ってお開き。

 帰宅したら、楽天がソフトバンク相手に勝利したばかりのところに間に合った。田中将大の不敗神話は、今日も健在。優勝へのマジックナンバーは25となった。夢のようである。今日もいい夢を見られそう。  


2013..8.29(木)

検査結果は成績優秀

 築地のがんセンターに3週間に1回の定期受診へ。血液検査、尿検査の結果は、すべて正常。血糖値だけは、毎回、正常値を超えているが、朝食後の採血なので、高くなるのは当たり前(と田野崎先生も解説してくださる)。「成績優秀」と評価されたものと受け止めている。「その調子、その調子」、田野崎先生も光子もそう言ってくれる。この調子を続けるよう、これまで通り慎重運転でいこう。

 採血の順番を待っているところに、小澤礼子さんと居合わせた。すぐ後に、田中君代さんも合流。お互いに示し合せたわけではない。このところ、一緒になることがなかったのに、三人一緒なんてすごい偶然である。これで南克己さんも来れば、ATL同窓生としてはパーフェクトなのだが、ちょっと残念。いつものように同行の田中一明さんとも会えた。田中さんも、小澤さんも順調のようで、なによりであると、同じく順調な私がうれしく思う。6週間後にまた会おうね。

 駅やオフィスビルなど、いたるところにオリンピック東京招致のポスターが貼られている。キャプションには「この感動を、今度はニッポンで!」というのが使われている。ポスターを見ていると、東京開催が決まったような気になってしまう。国民の多くも、そんな気になっているのではないだろうか。国立競技場は収容人員を8万人に増やすべく、改修の予算要求もされている。それが数百億円規模である。東京開催となるかどうかは、9月7日(日本時間9月8日)に決まる。成否確率半々というところだが、気持ちの上でも、施設整備予算などの面でも、開催まちがいなしと読み込んでいるところがある。開催を見込んで既に動いてしまった「列車」は止められない。そんなことばかり考えずに、今はひたすら東京招致決定を祈るべきだろうとの声も聴こえてくるが、だめだった場合の心の準備もしておいてもいいのではないだろうか。これが杞憂であることを願っている。


2013..8.28(水)

講演とシンポジウムの連チャン

 水明館で目覚めた朝。まずは野天風呂に挑戦。大浴場ほどの広い露天風呂である。湯につかって空を見上げれば、青空に浮かぶ雲が見える。極楽、極楽。極楽も長くいてはダメの金言を思い出して、これまた早々に娑婆に戻る。

 豪華な朝食をお部屋でひとりぼっちでいただいて、一休みしてから散歩に出る。「いでゆの橋」から飛騨川の流れを見下ろす。鮎釣りだろうか、何人かの釣り人が糸を垂れている。目を上げれば、緑一色の山々の連なり。快い風を受けながら、素晴らしい景色の中を散歩するのもいいものだ。本来なら、散歩ではなく10キロほど走って、温泉に飛び込むのだがなあという妄想が一瞬頭に浮かんだ。実際、5年前は、ここ下呂温泉でそれを実行した。そんな思い出の詰まった下呂温泉を後にして東京へ。

 東京では、東商ビルでの「ふるさとテレビ8周年記念七夕シンポジウム」のパネルディスカッションでコーディネーターを務める。中国地方知事会の5人の知事がパネリストである。テーマは「中国地方の魅力と将来像」というもの。5人の知事は代理なしの全員本人出演である。昨年も、同様の企画で、関西地域連合の知事がすべて本人出席で、これを「快挙」と称したものだが、これで「知事本人出席」が恒例になってしまった。

 平井伸二鳥取県知事、溝口善兵衛島根県知事、伊原木隆平岡山県知事、湯崎英彦広島県知事、山本繁太郎山口県知事が、順次、「お国自慢」で各県の魅力について語り、次に中国地方が一体となることの魅力と可能性について語った。それぞれ、話そのものが魅力的であった。そして、何故か、コーディネーター(私のこと)の評判が高いのである。厳格な時間管理ぶりだけが取り柄なのに、不思議である。それもこれもあって、有意義なパネルディスカッションであった。


2013..8.27(火)

5年ぶりの温泉

 岐阜県の下呂市で講演。主催は、益信経済クラブ、テーマは「改革への挑戦ー地方から国を変える」。会場は下呂温泉の水明館。中身は、地域起こし、地方分権、地域福祉の三題噺である。最後に5分ぐらいで話したぷれジョブの話が80人の聴衆のうちのかなりの方にアピールしたようで、「自分たちもやりたい」といううれしい反応もあった。

 講演を終えて、懇親会にも顔を出す。一流ホテルでのお料理は本格的である。水明館の瀧社長が益信経済クラブの会長ということで、それなりの配慮がされているのかもしれない。料理だけでなく、コンパニオンまで入っているのに驚く。

 泊まりは、この水明館。天皇皇后両陛下もお泊まりになる立派なホテルである。お風呂もいろいろあるが、大浴場に入る。移植後温泉はダメと言われていたが、田野崎先生に伺ったら、もう大丈夫でしょう、との許可をいただいた。5年ぶりの温泉である。それなりに感激しながらも、「長湯はダメよ」の妻の言葉を思い出して、早々に記念すべき5年ぶりの温泉入浴を終える。


2013..8.26(月)

一夜明けて

 一夜明けて、涼しい朝を迎えた。空気も乾燥している。見上げれば、青空にはちぎれ雲がぽつぽつ。既にして空は秋。散歩の道すがら、虫の音が聴こえる。こんな気持ちのいい朝は久しぶりだなあ。

 一夜明けて、横浜市長選挙の結果が確定した。予想通り、現職の林文子氏の圧勝である。投票率29.05%(史上最低)というのも、予想どおりの低さである。今月11日、現職の奥山恵美子氏が再選を果たした仙台市長選挙の投票率も30.11%と史上最低である。政令市の女性市長であり、議会主要会派の推薦を受けて圧勝したのも同じである。圧勝したのはいいとしても、投票率の低さは嘆かわしい。(「史上最低」というのは、横浜(仙台)市長選挙において最低ということ)

 一夜明けて、新聞のスポーツ欄で楽天の勝利を確認した。昨夜のロッテ戦を我が家ではスカパーでテレビ観戦。球場での観戦さながらに、テレビに向かって声援を送る。

 首位攻防の3連戦は、2位ロッテに2.5ゲーム差に迫られたところで始まった。1戦目は、田中将大投手が開幕18連勝、通算22連勝を記録する堂々の勝利。ここまでは計算済みだが、2、3戦は負けるだろうと覚悟していた。2戦目は、初回に満塁ホームランを打たれて敗色濃厚。終わってみれば7対5で勝利。

 そして昨日の3戦目。初回に4点先取されたのは2戦目と同じ。この時点で、「さすがに今日は負ける」と覚悟していた。ところが、ところが、じわじわと追い上げて、9回裏には、4番ジョーンズの代走で出ていた榎本葵(21歳)に打順が回り、なんと逆転サヨナラの2点二塁打。6対5で3連勝。なんと劇的な勝利だろう。テレビ観戦の3人の興奮も最高潮。これで2位ロッテに5.5ゲーム差をつけてのパリーグ首位。もうじき優勝のマジックナンバーが点灯するだろう。一夜明けても、興奮がやまない。

 午前中、30日の「血液幹細胞移植委員会」の事前説明に、厚生労働省の泉潤一臓器 移植対策室長らが来宅。わかりやすく、熱心に説明してもらった。論点も明らかになった。基本方針の策定締切がすぐなので、事務局の苦労が偲ばれる。なるべく迷惑をかけない形で審議に協力したい。   。


2013..8.25(日)

「ぷれジョブ藤沢」8月定例会のハプニング

 横浜市長選挙の投票日。散歩の帰り道に投票すべく、ポケットに投票券を入れて、散歩に出ようとした時に、雨が激しく降ってきた。散歩は中止。傘をさしても雨粒がかかる雨の中を投票会場に向かう。投票会場の神橋小学校に7時03分着。私が投票所到着第1号かと思ったら、数人が投票を済ませて会場を出てくるではないか。子ども連れの若い母親もいる。熱心な人がいることを確認した。

 会場では10人以上の係の人が働いている。選挙の公正な実施のためには人手がかかる。お金もかかる。先月、神奈川大学での「地方自治論」の授業で、「選挙に行けよな」と強く言い渡した学生達は、投票しただろうか。気になるなあ。

 藤沢駅近くの森井ビル内の湘南よみうり新聞社の会議室で「ぷれジョブ藤沢」の8月定例会、の予定であった。今回、この会場を使うのは初めて。新聞社のMさんのご好意で会場を提供してもらった。予定が外れたのは、会場の新聞社のオフィスが施錠されていたこと。Mさんの姿もない。急遽、オフィス前の空間で立ったままの定例会になった。日曜日の昼前なので、ビルに出入りする人がほとんどいなかったのは、不幸中の幸い。なんとか定例の報告をこなして、いつもより短い30分で終了。立ったままの会議というのは、そうそう出会うものではない。「人生、いろんなことがあるよね」と言いながらの定例会であった。

 「ぷれジョブ藤沢」には、慶応大学SFCの「浅野研究会-障害福祉ゼミ」のOB、OGである小林恵里菜、高橋理恵、出口直巳が、ジョブサポーターとして参加している。定例会終了後、藤沢駅近くの「古久家藤沢店」でラーメンを食べながら、彼らの近況を聞かせてもらう。この店では、ぷれジョブのT君が週に1時間お手伝いをしている。

 帰宅したら、湘南よみうり新聞社のMさんから電話。同時にメールが届いた。「会議室予約の際に、午前と午後を取り違えていました。皆様には大変なご迷惑をおかけしました」という趣旨の謝罪があった。メンバーには、来月の定例会開催通知のメールにMさんの「謝罪文」もつけて、お伝えさせてもらった。「人生、いろんなことがあるよね」。


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