浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記          
2013.3.23(土)

 うらら、うららの春の日

 あまりにも早い今年の桜。去年はいつ頃満開だったのか確かめるべく、去年の日記を開いてみる。2012年4月7日(土)の日記には、「今日の岸根公園は『春のうた』そのまま。桜はほぼ満開、花見のグループは百を超えている」との記述がある。今年の満開は2週間早い。今日の散歩は、その満開の桜を見ながら。公園に上っていく坂の右側には、見事な大木にピンクの桜が満開。ひょうたん原っぱの桜は、薄いピンクのものと濃いピンクの両方が咲いている。中央広場では、紙芝居をやっていた。子どもが50人、ほぼ同じ数の保護者が熱心に見ている。まさに「さーくらの はーなの咲-くころは、うーらーら うーらーらと日ーもうーらら」(野口雨情作詞「春のうた」)である。

 神奈川県が独自に策定した企業課税条例を、最高裁は「地方税法に違反し無効」と判断した。県条例は、企業が単年度であげた利益に課税する仕組み。地方税法で定める「過去の赤字と相殺」という仕組みとは違う。国が定めた課税の原則と自治体が独自に定めた内容と、どっちを優先させるかという議論になる。最高裁の結論は、「公平な課税という法律のねらいを条例で阻むことは許されない」ということだから、国の法律優先である。自治体の課税自主権を確立すべきだというのが、私の立場であるが、今回のようなケースで神奈川県条例を支持するのは無理がある。自治体の課税自主権の前に、「租税法定主義」が立ちはだかる。4月から、神奈川大学で「地方自治論」を講ずるが、今回の判決を研究材料にしようと思い、朝日新聞の社説を切り抜いておいた。議論としては、なかなかむずかしいケースなので、授業で取り上げるのは、無理かもしれない。


2013.3.22(金)

 楽しい会食

 日程が三つも重なるのは、最近あまりなかった。午前中は、神奈川大学にて諸準備。学事関係の部署で、SA(student assistant)について説明があり、その後授業で使用する教室に赴いて、マイク、パソコンの使用法を習い、パワーポイントが使えるかの確認をした。なんとかなりそう。引き続き、研究室を見せてもらった。荷物が何もないせいもあり、こぎれいで、すっきりしている。人事関係では、名刺、身分証、保険証(今度は私学共済だ)などを受領した。キャンパスの桜は満開。いよいよ試合開始である。

 午後からは、霞ヶ関ビルで「日本フィランソロピー協会」の理事会。来年度の事業計画などを決定。会長の私が議事進行だが、私の役割はそれぐらいのもの。高橋陽子理事長が、協会発足以来、協会の運営、事業の執行を取り仕切っている。高橋さんあっての協会である。今後とも、がんばってもらいたい。

 理事会を終えた足で、九段下の「寺島文庫」へ。ここに来るのは、3回目だが、そのたびに書庫の充実ぶりに目を見張る。寺島実郎さんの蔵書4万冊の収納場所としての「寺島文庫」だが、背表紙を見ながら書庫を歩き回っているうちに、「知の巨人」の源泉はここにあることを実感する。「研究者だったら、ここに一ヶ月でもいたいような場所」と寺島氏が言うのは、関連課題ごとにさまざまな書籍が集積されている空間に身を置くだけで、書籍のシナジー効果が現れて、新しい発想が湧いてくるからである。書籍の質と量もすごいが、歴史的人物の署名本が陳列されているのも、寺島氏の自慢である。マッカーサー、ペリー提督、歴代アメリカ大統領の自筆署名の本を眺めていると、頭がくらくらしてくる。

 寺島文庫の見学を終えて、近所のホテル・グランドパレス地下の和食「千代田」で楽しい会食。寺島さん、「寺島文庫」で合流の生島ヒロシさん、花見渋滞に巻き込まれて遅参の残間里江子さん、私の4人が集う。私を除いた三人は、ともかく忙しい。なんとか日程調整をして、やっと4人での会食が実現した。少量のアルコールが入っての歓談は、実に実に楽しいものだった。


2013.3.21(木)

  「ミヤネ屋」臨時出演

 昨夜、読売テレビから「ミヤネ屋」出演の依頼があり、大阪へ。東京ではほぼ満開の桜が、大阪は開花もしていない。番組の特集「2013年 年金問題」でコメントしてくれという依頼だった。元厚生労働副大臣の大塚耕平参議院議員とともに出演。大塚さんはあたりが柔らかく、とても感じがいい。パネルを使って藤村レポーターが年金問題について進行し、宮根さんが適宜我々二人に説明を求める。複雑な年金問題をわかりやすく解説するにも限度がある。それぞれの問題に深く踏み込めないままに、なんとなく終わってしまった感じ。それはそうとして、いつもと違った感じでの番組出演は、それなりに楽しめる。

 今日も、twitterでいろいろつぶやかれている。「浅野史郎さんがTVに出ているけど病気の影響なのか、かなり外見が変わっていて最初誰かわからなかった」、『浅野史郎前宮城県知事、ミヤネ屋に出ている。年取ったなー。パッと見、全然わからなかった』、『浅野史郎のハゲっぷりすごっ!私の知ってる浅野史郎ではない』、「浅野史郎さん、久々に見たなあ。がんで闘病してたけど大丈夫かな」、「浅野史郎氏、久々にテレビで見た。結構薄くなりましたなあ」。まだまだあるが、同趣旨のものばかり。まだまだこういうふうに見られているんだ。  


2013.3.20(水)

 キプロスくしゃみで風邪引くか

 「暑さ寒さも彼岸まで」どころではない。お彼岸に桜がほぼ満開というのは、一種の気象異変ではあるまいか。こういう異変なら、大いに結構。この暖かさでは、風邪の流行にも終止符が打たれるだろう。

 暑いほどの日差しに誘われて、久しぶりに散歩に出かける。岸根公園の桜は二分咲きぐらいか。好天の祝日だけあって、お父さんと一緒の子どもたちの声があふれている。2、3歳ぐらいの子が達者に動き回っている様子がかわいくて、思わず「かわいいな」と声が出てしまう。

 安倍政権発足直前頃から上昇を続けてきた日経平均株価が、この2、3日は乱高下している。ユーロによるキプロスへの緊急支援の条件として、預金課税を課すこととされたことで、あらゆるリスク投資に慎重ムードが広がった。これにより、円やドルなど安全資産への資金シフトが生じた。キプロス情勢がどうなるかによって、我が国経済が揺さぶられる状況である。

 キプロスとはどんな国なのか、先日アマゾンを通じて購入したばかりの「世界地図2013年版」(成美堂出版MOOK)で調べてみた。キプロス共和国は地中海に浮かぶ島国で、人口87万人(北キプロス・トルコ共和国を加えると110万人)。主要産業は観光産業と金融業。金融業は1990年代の東欧諸国からのマネーロンダリングで有名である。最近では、ギリシア金融危機により、銀行が膨大な損失を被った。人口87万人だが、ユーロ加盟国であるので、その金融危機は世界に影響を及ぼす。日本の株価にも影響を及ぼしているが、それがどの程度まで広がり、どれだけ長く続くかはわからない。今日の株価は持ち直したところを見ると、影響は最小限にとどまるのではないか。  


2013.3.19(火)

 

 強風と雨の夜が明けて、初夏を思わせる一日に一足飛び。午前中に、私立灘高校の2年生の土井君、平井君、坂本君、松村君の4人と灘中学生の加藤君が来宅。5月の学園祭での発表と部誌掲載のための取材である。テーマは東日本大震災。明日は気仙沼に行くとのこと。高校生が自発的学習として、ここまでやるのに感心しながら、取材には一生懸命に応じた。

 午後からは、佐藤知一神奈川県議会議員の依頼で、議員仲間の勉強会で講師役を務めた。佐藤さんは、SFCの出身で、これまでも私の授業にゲストとして何度かおいでいただいていた。勉強会のテーマは、地方自治について。10人ほどの議員を前にして、パワポを使用しながら、1時間半の講義、30分の質疑をこなした。皆さん大変熱心に聴いていただいて、こちらとしてもやりがいのある講師役であった。


2013.3.18(月)

「侍ジャパン」が散る  

 朝から風が強く吹いている。外に出てみたら、突風といえるほどの強い風である。気温が高いので、花粉は飛び放題だろう。こういう日は、家でじっとしているに限る。

 平日の昼間に家にいられるのは、高齢者(私のこと)の特権である。TBSテレビでサンフランシスコからのWBC準決勝の中継を「じっとして」見る。「侍ジャパン」は、プエルトリコの大したことのないピッチャーにいいようにあしらわれて、1点しかとれず、1対3で敗戦。桜が開花したばかりなのに、あえなく散ってしまった。あの打線では、優勝は無理。準決勝まで進出できたのでも上出来である。今年のWBCを見ていて感じたこと。「侍ジャパン」というチーム名に違和感あり。ご当地アメリカのサンフランシスコで行われている決勝リーグにアメリカチームが出ていないこと。WBCに対してアメリカが中途半端な取り組み方なのが、どうしても気になる。

 自民党が政権復帰して初の党大会を開いた。安倍内閣が高い支持率を保持している中での大会だけあって、勢いが感じられる。夏の参議院議員選挙を、この勢いで勝利するということで意気盛んである。満開の桜も、いずれは散るなどと不吉なことを言ってはいけない。参議院議員選挙で勝てば、今まで自制していた政策を進めていくつもりではないかと疑心暗鬼になるのも控えよう。現状の「慎重運転」は、決して便宜上のものではないと信じたい。


2013.3.17(日)

有意義な会議・楽しい会議  

 つばさ支援基金・第4回公開フォーラム「がん闘病の新時代?暮らしながら受ける長期がん医療?」が早稲田大学 国際会議場で開催された。東横線白楽駅から渋谷駅を経由してJR高田馬場→東西線早稲田というルートで出かけた。昨日、東横線の新渋谷駅が開業したばかり。・JR渋谷駅への乗り換えはエレベーターを乗り継ぎ、乗り継ぎで所要4分半。こういう形の利用者にとっては、「便利になった」とはとても言えない。

 フォーラムでは、「私の実感と実践-治療、仕事、暮らし方-これからへの希望と取り組み」の最初の語り手として10分間話して、次の会場へ。他の語り手も、私と同じく白血病との闘病を経て社会生活に復帰した元患者である。30代、40代と若い人たちの話を聞かずに会場を去ったのが心残り。

 「次の会場」は、有楽町の東京国際フォーラム。「共生社会を創る愛の基金」の第2回運営委員会と第7回企画委員会の合同委員会が16時から開催された。運営委員会の委員長である私が座長を務めて、「罪に問われた障がい者」への支援活動について、内容のある議論を展開して19時過ぎに閉会。

 会議終了後、国際フォーラムの中にある「酒蔵レストラン・宝」に出席者有志8人で課外会議。最年長80歳の堂本暁子さんの元気さに刺激されて、議論は活発に進行。全員60歳以上だから、議題はどうしても過去の話題になる。昭和39年の東京オリンピックの取材で堂本さんと大熊由紀子さんは気鋭の女性記者として出会ったらしい。アベベの勇姿、チャフラフスカの優美さなど、思い出話が続く。障害福祉課長時代からの付き合いの田島良昭さん(長崎県の南高愛隣会理事長)、松矢勝宏さん(全日本特別支援教育研究連盟理事長)とは、障害福祉の仕事に燃えた思い出話。日本フィランソロピー協会理事長の高橋陽子さんとも長い付き合いである。「愛の基金」設立前後からの武田牧子さん(南高愛隣会東京事務所長)、村木太郎さん(高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理)も交えて談論風発は、実に楽しかった。こんな会議なら、毎月開催でもいいなと思いつつ解散。


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