浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 11月第4週分          

2012.11.24(土)

取材をはさんで、ベガルタ仙台敗戦  

 今朝の気温は10℃。曇っているので、あたりは暗い。風もないし、全然寒くない。ラジオ体操も散歩も、元気ありあまる感じで快調である。ラジオ体操参加者は、最盛期の半分ぐらい。このぐらいの寒さでも、お年寄りにはつらいのかもと、同じくお年寄りの私がつぶやく。

 15時に毎日新聞横浜支局の北川仁士記者の取材。「今回の衆議院選挙の意義」について。むずかしいテーマだが、なんとか答えておいた。北川記者は「よくわかりました」と帰っていったが、話している本人(私のこと)が混乱している内容を記事にまとめるのは大変だろう。神奈川版にどう掲載されるか、楽しみである。

 取材は1時間。なんとか、ベガルタ仙台対アルビレックス新潟の試合中継、後半残り15分のところに間に合った。取材前に、新潟に先制されたところまで見たが、試合はそのままで、終盤まできた。17位でJ1から降格圏内の新潟に対して、首位争いをし、ホームでは9勝1敗の仙台が負けるはずがない戦いだったのに、まさかの敗戦。同じ時刻、首位広島が4対1でセレッソ大阪を下して、万事休す。広島の優勝が決まった。それにしても、J1とJ2を行ったり来たりしていたベガルタ仙台が、リーグ終盤まで首位争いをしているなんて、夢のよう。ベガルタ仙台の前身のブランメル仙台の設立に関わった者(私のこと)として、感慨無量である。すごい選手を揃えているわけでもないチームをここまで引き上げてきたのは、手倉森監督の手腕である。監督、来季も頼みます。そして、来季こそは優勝を。


2012.11.23(金)

SFCのORFでのセッション  

 昼から、東京ミッドタウンで、昨日、今日と開催の「慶応義塾大学SFC OPEN RESEARCH FORUM 2012」で、プレミアムセッションのコーディネーターを務める。テーマは「発達障害が世界を変える」というもの。壮大なテーマで、パネラーには安部雅昭(星槎名古屋中学校教頭)、市川宏伸(日本発達障害者ネットワーク理事長)、高森明(アスペルガー当事者)、須賀智美(株式会社Kaienブリッジコンサルタント)、藤堂栄子(特定非営利法人EDGE会長)という最高のメンバーを得た。百人超の参加者で満員の会場にも満足。私としても張り切ってコーディネーターを務めたが、いかんせん、1時間半のセッションでは短かすぎ。あと1時間、せめて30分あったら、白熱のセッションになったはず。残念である。とは言いながら、同じ会場で14時から別なセッションがあることを知りながら、制限時間を10分以上オーバーしても、会場からの質問に対応していた。時間オーバーは、私としては、極めて珍しいことなのだが、背に腹は代えられない。SFCでの「障害福祉研究会」の履修者4名(+履修者の母親2名+叔母さん)、他の授業の履修者2名、研究会のOB、OG4名(そのうち2名は、OB・OG同士の夫婦)、確認できただけで、それだけの「教え子」たちが駆けつけてくれたのも、大変にうれしいことであった。

 帰宅したら、アマゾンから、「流転の海」の第2部から第5部まで届いていた。第1部を昨日読了し、第2部以下が届くまでのつなぎで、「GOTH」(乙一)の読み残しを帰りの電車内で読み終わったタイミングで、「流転の海」の続編の到着である。まだ第1部を読んだばかりだが、「理不尽で我儘で好色な」松坂熊吾を中心にした、戦後の疾風怒濤の時代を描く波乱万丈の大河ドラマは、途中でやめられそうもない。熊吾50歳でできた息子伸仁の誕生で始まる物語は、第5部になっても伸仁はまだ10歳である。この大河は相当にゆっくりした流れのようだが、読み手もゆっくりとした気持ちで、宮本輝畢生の対策を読み進もう。


2012.11.22(木)

「仙台二高OB霞ヶ関会」(仮称)  

 鳩山由紀夫氏が政界引退。次期衆議院議員選挙で民主党の公認が得られないことが、直接の理由らしい。どうも、よくわからない政治家だった。自他ともに認める「宇宙人」ということなのだろう。武村正義氏は「鳩山さんは政策、理念が同じなのに、特定の人を排除するような人。皮肉にも、今度は鳩山さんが排除された」と語った。当時、さきがけ代表だった武村さんが、1996年、鳩山氏・菅直人氏が結党した民主党への参加を排除されたのを、16年後にうらみを晴らしたことになるのだろうか。武村さんが大好きで、鳩山さんとも親しかった私とすれば、なんとも複雑な気持ちになる。

 民主党は、今回選挙で、「党の方針に従って行動する」という誓約書を出すことを公認の条件としているが、疑問なしとしない。「党の方針」の中には、党内で十分に熟議されていないものも含まれている。たとえば、TPPの推進だが、党内の議論は、まだまだ不十分ではないか。そういったものも、全部まとめて、「党の方針」とし、これに従わない党員は、選挙で公認しないというのは乱暴である。「党の方針に従わないのは、公認しない」というのは、理解できる。問題は、TPPの推進など、党内議論が未消化なテーマが含まれていること。前回選挙の際のマニフェストが実現できなかったのも、マニフェスト策定に際しての党内議論が不十分だったから。今の民主党に、そのことの反省があれば、今回のようなことはできないはずである。

 夜は、「霞ヶ関北陵会」に出席。9月に「在京仙台二中・仙台二高同窓会」に出席した折に、白鳥幹久さん(高校55回卒、農林水産省から財務省に出向中)と話したのが、会発足のきっかけになったらしい。そういえば、この同窓会で東大在学中のOG4、5人と会った。いずれ、この会に高校OGも参加することになるだろう。白鳥さんは、東大経済学部在学中に、東京大学新聞の記者として知事室で私の取材にやってきた。(忘れていたのを、白鳥さんから聞いて思い出した)。「霞ヶ関北陵会」は9月発足で、今回2回目。現役の役人ではないが、OBのOBとして私も参加させてもらった。国会職員、仙台市東京事務所職員も含めて13人が参加し、有意義で楽しい会になった。


2012.11.21(水)

フィランソロピー協会で昼食会  

 日本フィランソロピー協会で昼食会。会長を務めるこの協会に行くのは、3年半ぶり。東京駅から新大手町ビルまで、迷わずにたどり着くことができた。途中通過するOAZOビル内も、変わっていない。3年半の間に職員も増えて、オフィスが手狭に見える。高橋陽子理事長はじめ、10人で囲む昼食会は、とてもいい雰囲気。調子に乗って、ひとりでしゃべりまくっていたような気がする。三年半のブランクにもかかわらず、暖かく迎えてくれる職員に感謝。

 病気前は、協会の会長室を取材の場に使うことが多かった。今日は、その再現。11時から、ここで「週刊現代」の阿部崇記者の取材を受ける。テーマは、「石原慎太郎総理大臣をどう受け止めるか」。来るべき衆議院議員選挙では、政党乱立で、どの政党も過半数の議席を獲得できないだろう。1993年の同じような状況では、国民新党の細川護煕代表が寄り合い政権の首相に就任した前例がある。石原慎太郎「日本維新の会」代表が首相になることも、可能性としてはゼロではない。日本にとって、国民にとって、決して望ましい首相とは言えない。その理由を3点ほど申し上げておいたが、阿部記者がどんなふうに記事にまとめるか。来週月曜日の発売が楽しみ。

 民主党の「議員の世襲は認めない」ということの中身は、同一選挙区で三親等内の親族に立候補を認めないということである。私の「世襲」の解釈より限定された定義である。その定義に則れば、今回の衆議院議員選挙において、民主党の候補者の中には、世襲議員はゼロである。11月18日(日)の日記で、「鳩山由紀夫さんも世襲でないか」など、13人の議員を「世襲議員」と名指ししたが、これはまちがい。世襲とは、選挙地盤を譲り受けることだから、これらの議員にはあてはまらない。

 日本維新の会の代表、代表代行の昨日の発言には驚かされた。「日本は核兵器に関するシ ミュレーションぐらいやったらいい。これも一つの抑止力になる。持つ、持たないは先の話だ」(外国人記者クラブでの石原慎太郎代表発言)、「個人献金の法制度ができれば完全に禁止できるが、それまでは上限を定めるのが限界」(記者取材における橋下徹代表代行の発言)というもの。今日の「週刊現代」の取材は「石原慎太郎首相が誕生したら」のシミュレーションだったが、まかりまちがったら首相になる人の発言としては、(負の)インパクトが強すぎる。今の時期に、「個人的見解だが」なんていうのは、通らない。橋下発言は、日本維新の会の最も中核になる方針の変更である。太陽の党の議員を日本維新の会に吸収したことにより、「企業・団体からの献金禁止」の方針は堅持できなくなった。党の掲げる方針の新鮮さ、明快さゆえに、日本維新の会を支持していた人たちにとっては、失望につながる方針変更である。太陽の党の合流は、維新の会にとって吉と出るのか、凶と出るのか。既に、この時点で結果は明らかである。


2012.11.20(火)

村木厚子さんを囲む会  

 横浜の朝の最低気温が6℃。震えるような寒さというよりは、身が引き締まる感じ。ラジオ体操の参加者は、この寒さでも減っていない。「寒くなったね」、「今朝は冷え込んだ」といった会話が交わされる。空気が凛として張り詰めているようで、こういう気象は好きだ。そんな中、ラジオ体操と散歩を楽しむ。

 腹筋の「回数増やし作戦」を17日(土)の日記に書いたのがよくなかった。翌日の腹筋では、50回に届かず。翌日も同じ。今日の目標は、当初の「作戦」では60回になるべきところ、10回減らしての50回。明日は51回。次は、どこでくじけるか。

 宮本輝の小説、今日は「蛍川・泥の河」(新潮文庫)を読む。「泥の河」は作者の文壇デビュー作で、昭和52年「太宰治賞」受賞。「蛍川」は翌53年に「芥川賞」受賞。どちらも芸術的香りの高い作品である。小説っていいなあと思いながら読んだ。宮本輝の作品では、「ドナウの旅人」をずいぶん前に読んでいた。今回、宮本輝の作品を再び手に取るようになったきっかけは、NHKの「ラジオ深夜便」での宮本輝の話が面白かったから。具体的にどんな話だったかは、寝ぼけ半分で聴いているので、忘れてしまったが、この作家への興味だけは残った。宮本輝作品をもう少し読みたいが、もうすぐ丸谷才一の本がアマゾンから大量に届く。一緒に横山秀夫の「64(ろくよん)」(文藝春秋)も届く。「7年ぶりの新作、彼の最高傑作」と評判が高い。これは、すぐにも読みたい。どうしよう、どれから読めばいいのか。

 夜は、丸の内の東京會舘での「村木厚子さんを囲む会」に出席。村木さんの厚生労働省社会援護局長就任祝いの趣旨もある。女性グループ、にっぽん子育て応援団などのメンバー25人ほどの集まり、とてもいい雰囲気の会だった。村木さんは、今夜もとても素敵。メンバーからのスピーチをうれしそうに聴いている姿が印象的だった。


2012.11.19(月)

寒い日に  

 一日中、寒い日。朝の散歩は、寒いからではなく、昨晩、少し咳が出たので、「大事をとって」自粛した。これしきの寒さは、寒さのうちに入らない。

 午後から、銀座へ。寒い日なので、ダスターコートとマフラー着用。ヤマトホールディングス株式会社に赴いて、広報戦略担当の丹澤秀夫さん、片桐章裕さんと面談。内海智子さん(隼吾くんのお母さん)の補助役での同行である。内海さんから、ダウン症の子を広告で使うなど、企業活動の中で、障害を持った子が普通の子と混じって活動する場面を提供するという企画を実現したいという希望を伺っていた。私から、障害者を多数雇用することで有名な某会社に声がけしたら、前向きの回答をいただけなかった。第二弾として、ヤマト運輸(親会社のヤマトホールディング)にお話したところ、「お話をお聞きしてみたい」という回答があって、今日の面談となった。内海さんの説明に熱心に耳を傾けていただいた。障害者福祉支援事業で有名なヤマト福祉財団にも声をかけて、何ができるか検討してくださるという。いずれ何らの回答をいただけるだろう。果報を寝て待つことにする。

 丸谷才一の本をアマゾンで購入したが、届くまで少し時間がかかる。乙一の「GOTH」(角川文庫)を、届くまでの「つなぎ」として読み始めたが、短編2作を読んだところで、宮本輝の「錦繍」(新潮文庫)に乗り換え。「GOTH」のおぞましい雰囲気が、「錦繍」のしっとりとした情感で払拭された。「孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン」(カバー紹介文から)が、往復書簡という形で展開される。浮いたところのない、男女の心理の深淵を描き出す、秀逸な恋愛小説である。  


2012.11.18(日)

またもや「受け狙い」  

 羽田雄一郎国土交通大臣(参議院議員)が、次の衆議院議員選挙への立候補を検討している。これに対して、民主党は公認しない方針である。理由は世襲だから。実際には、民主党内で、次の衆議院選挙に立候補予定の世襲議員は、鳩山由紀夫、横路孝弘、山花郁夫、赤松広隆、奥田健、松本龍、鹿野道彦、小平忠正、近藤洋介、田中眞紀子、中井洽、松本剛明、渡辺周など多数いる。この人たちも、公認されないのでないとおかしい。そもそも、「世襲」とは何ぞや。ただの二代目、三代目ということではないか。選挙を経なければ議員になれないのだから、議員に世襲なんてことはありえない。それにしても、なぜ世襲議員は公認できないのか。「この人は世襲(2代目)だからいやだ」というのは、有権者が決めればいいだけの話だろう。「世襲はだめ」というのは、有権者受けをねらった「ええかっこしい」であって、理屈ではない。そう思いませんか。

 ついでに、国会議員の定数削減についても、一言。解散の日に、衆議院議員定数の「0増5減」法案は成立した。これだけでは不十分ということで、民主党はさらなる大幅な定数削減をしようと、自民党などにも協力を約束させた。その理由が「議員定数削減なくして増税なし」、つまり、増税で国民に負担を強いるのだから、こちら(国会)も身を切らなければならないということらしい。ちょっと待ってくれ。現在の衆議院議員の定数は、どういった理屈で、どのような経緯を経て決まっているのか。今の時点で再検討したら、その理屈はおかしいということで定数削減するというのならわかる。「金がないから」とか、国民への姿勢を示すために「身を切る」というのは、おかしい。「身を切る」というなら、議員の給与を削減する(2割削減法案は成立)のが常道である。あれも、これも、安易な「受け狙い」ばかりやっていると、政治を誤る。国を誤る。心すべきである。

 定数削減の議論、ついでのついでとして。「ねじれ」でいつも問題になる二院制について。参議院不要論があるが、これは憲法改正しないとできない。私の提案は、「参議院議員の定数を11人に削減する」というもの。憲法第43条第2項は「両議院の定数は、法律でこれを定める」とあるから、憲法改正はいらない。法律で定めればいい。「11人」は、9人でも13人でも21人でもいい。賛否同数を避けるため奇数であればいい。全員全国区で選ぶ。少数であれば、真に立派な人だけが選ばれるだろう。参議院議員一人にスタッフ20人国費でつける。議員の給与も衆議院議員の5割増しにしていい。要するに、参議院議員は高いステイタスを保持する。衆議院での議論とは、かなり違った次元(「高い次元」と言いたい)の議論が期待される。参議院議員も、国民から選挙で選ばれるのだから、民意から離れた議論はできない。衆議院の「暴走」へのチェック機能として働くだろう。今の政局のような「ねじれ」とは違った意味で、正しいねじれ(?)になればいい。参議院の定数が、今の10分の1以下になるのだから、現在の参議院がそんな法案を通すはずがないだろうか。例の「3分の2条項」がある。参議院で否決されても、再び衆議院の3分の2の多数で再可決すれば、法案成立である。どう思いますか。  


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