浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 9月第1&2週分          

2012.9.8(土)

原稿をやっと書く    

 夜中に5回もトイレに起きる。就寝してから朝まで一回も起きない「無着陸飛行」を最後にできたのは、いつのことだったか。5回は多過ぎる。睡眠がとぎれとぎれで、十分に寝た気がしない。という中で、今朝の起床も、少し遅れ気味。そこから後は、昨日とまったく同じ経緯を辿って、散歩30分で帰宅。

 「新言語学序説」10月号の原稿を書いて、編集部に送る。今回は、テーマがみつからず、ぎりぎりまで苦労した。なにしろ「言葉について」というテーマで102回+16回の計118回書いてきた。「そろそろネタ切れ」と編集部に泣きついてからも、10回ぐらいがんばったが、そろそろ限界ではないか。結局、今回のテーマは「面接について」ということで、なんとか書いた。

 最近は、月間3本ぐらいのペースで原稿書いているが、知事時代には、月間10本だった。今より10倍も忙しいのに、よくそれだけ書いたものだと、我がことながら感心する。月間3本でも、フーフーいっている今の自分が嘆かわしい。引き続いて、「自治日報」から昨日頼まれた原稿書こうと思ったが、明日も時間があることに気がゆるんで、楽天対西武の試合をテレビ観戦してしまった。見ていてよかった。6対5のサヨナラ勝ち。これで楽天、3連勝だ。


2012.9.7(金)

「ぷれジョブ」が機能した    

 今日も散歩の出発が遅れたが、ラジオ体操にはかろうじて間に合った。いつもの定位置ではなく、岸根公園の広場の一番はじっこで体操をした。いつもと景色が違う。ラジオからは相当離れているのに、音声ははっきり聞こえる。真後ろのおばさん三人組は、ぺちゃくちゃ一族だった。

 午前中は、週刊朝日ムック「がんで困ったときに開く本」の取材。タイトルからわかるが、私の闘病経験談を聞きたいということである。1時間半、しゃべりまくったが、記事になるのは、ほんのわずか。編集が大変だろう。最近は、取材も講演も、闘病に関することが多い。

 夕方は、「ぷれジョブ藤沢」の定例会で、ワキプリント社へ。ここに金曜日の16時から1時間、内海隼吾君が仕事をしに通ってくる。ジョブサポーターの林圭佑君はSFCの「障害福祉研究会」の学生である。隼吾君からは、順調に「仕事」をこなしているという報告がなされて、出席者一同拍手。続いて、林君から「隼吾君、バス乗り間違い事件」の報告があった。

 湘南台駅からワキプリントまでは、隼吾君は林君と一緒に通っていた。8月24日の回からは、隼吾君が湘南台駅から一人での「通勤」をやることにした。その当日、隼吾君はバスを乗り間違えた。途中で間違いに気がついた隼吾君は、バスの運転手にそのことを伝えたらしい。運転手さんは、隼吾君を途中のバス停で降ろしたが、一人でそこに置いておくのは不安だった。そうしたら、同乗していた女性が、自分も降りて、近くの「遠藤市民センター」まで隼吾君を連れていき、そこで一緒にワキプリントからの迎えの車を待ってくれた。バスの運転手の気遣い、同乗の女性の協力によって、隼吾君は無事ワキプリントに辿り着くことができた。これぞ「ぷれジョブ」の真髄である。早くも「ぷれジョブ」の効果が実証されたことがうれしい。大感激である。


2012.9.6(木)

がんセンターにて    

 散歩に出ようか、さぼろうかと少し悩んだが、短い30分の散歩を挙行。「さぼる」という言い方は、「散歩が義務」を思わせるし、「挙行」というのも大げさだ。時々は、そういうこともある。こんなことを繰り返しながら、ぼちぼちと続いていくものである。悩んだのは、今日ががんセンターの外来受診だからである。早めに家を出なければならないので、散歩の日程が入ると、かなりきつきつになる。

 結局、いつもどおりの時間に出発して、築地のがんセンターへ。今日の血液検査の結果は、クレアチニンの値と尿酸値が高くて、ともに正常値上限を超えている。田野崎先生によると、それほど気にするほどではないとのこと。ただ、原因がよくわからないのが気になる。次回受診は、2週間後。今でも、2週間に一回の受診となっているのは、肺のGVHDがぶり返すおそれがあるから。皮膚や耳にGVHDが出ているので、肺にも出るのはあり得る。ステロイドの5mg/日の服用も減らせない。「注意して過ごしてください」の言葉は、しっかり受け止めなければならないと、心を引き締めた。

 がんセンターを出るところで、女性に声をかけられた。すぐには気がつかなかったが、2月にATLで東大医科研に緊急入院した山口県のGさんの奥様だった。Gさんは、あれから、医科研での治療を済ませて、先月、がんセンターに転院し、今は骨髄移植の前処置を受けているところという。「あれから」というのは、この2月のことである。山口在住の彼女から「夫がATL発症したが、山口県では適当な医療機関がみつからない。どの医療機関がいいのだろうか。」とのメールをいただいたので、すぐに医科研の内丸薫先生のところを紹介した。メールの翌日には、Gさんは医科研に赴き、そのまま入院。その後、適切な治療を受けて、今回、田野崎先生による骨髄移植にまで辿りついた。「大丈夫、必ず治るから。安心して田野崎先生にお任せすればいい」と励ました。元気な私に今しがた奥様が出会ったことが、移植を前に不安定な気持ちになっているというGさんに、励ましとして届くだろう。Gさんの奥様と、今日、ここで会えたのが、お互いに幸運だった。


2012.9.5(水)

テレビ出演今昔    

 テレビ朝日の「モーニング バード」に出演。昨日の午後に電話で出演依頼があった。大阪維新の会の「維新八策」にある道州制についてコメント。出演時間は、10分ぐらいだが、せっかくの機会なので、いろいろ言わせてもらった。ツイッターには43件。例によって、「老けた」、「はげた」、「ヅラだったのか」、「太った」、「人違いした」のつぶやきがほとんど。「元気になってよかった」が5,6件。いやはや。

 夜は、病気のことでお世話になったTBSテレビ「朝ズバ」のスタッフと横浜中華街で食事会。病気前、元気で番組に出ていた頃の昔話に花が咲いた。いい仲間である。

 新聞、テレビの報道では、民主党、自民党の代表選びの話題でにぎわっている。究極の政局ネタだから、記者たちにとっては、政策を追うよりよっぽど血沸き肉躍る取材である。報道を受け取る我々側は、その興奮に乗せられず、冷静に又は冷ややかに、状況を眺める程度でいい。                  


2012.9.4(火)

長老支配?    

 日程上、早めの散歩を22分だけ。朝から、久しぶりにSFCキャンパスへ。あいかわらず、美しいキャンパスである。緑が多い。こんな素晴らしいキャンパスは、日本にはあまりない。それだけでも、SFCへの愛着を感じる。郵便がたくさん届いていた。夏休みには、大学宛にして欲しくないというのは、わがままか。

 各政党の代表選びが、混乱状態。「活気がある」というべきなのだろう。自民党では現職の谷垣さんが、出馬できるかどうかさえ危ぶまれている。「長老支配」のせいなのか。その長老たちが、「若い人材に譲れ」というのだから、面白い。                 


2012.9.3(月)

歯の治療、お腹の治療    

 3連敗の後、散歩とラジオ体操再開。気温が少し低いこともあって、身体が楽である。ラジオ体操に集まる人たちは、みんな元気いっぱい。仲間同士で、一緒に体操を楽しむだけ。「おはようございます」で始まり、拍手で終わる。体操が終われば「さようなら、また明日」で、さっと散る。お金のかからない、気を遣わない社交の場としては最高のものである。

 帰宅して、シャワー、朝食を済ませて、宮沢歯科へ。今日も、1時間以上、みっちり治療をしてもらった。歯科の場合、削ったり、抜いたり、嵌め込んだりだから、治療というよりも、工事というのに近い。宮沢先生の力仕事は、熟練工並みである。腕前は信頼しているので、治療中は黙って(しゃべれるはずがない)口を開けているだけ。まったく痛みを感じずに治療が終わる。次回は、仮歯でない本物の挿歯が入る。治療は痛くないだろうが、自費治療になるので、支払いは痛いかもしれない。

 つれづれなるままに、じっくりお腹を眺めたら、ぷっくりとふくらんでいる。実に醜い。光子からも「太ったんじゃないの」とずばり指摘された。たまたまネットで「コアピラティス ぽっこりお腹をへこませる」というサイトをみつけたので、そこのビデオで紹介されているエクササイズをやってみた。ついでに、独自に腹筋運動もやったら、なんと、通常どおりの方法では、1回もできない。1年前は15回できたのに。少し、簡便化した(楽にやれる)方法で、なんとか10回やる。こんなことでは、お腹がへこむわけがない。ちょっと前までの、あのすらっと平らなお腹は、どこに行ってしまったのだろう。これも、服薬の副作用ではないだろうかと疑っている。


2012.9.2(日)

各党の代表選び    

 夜中から朝方まで、横浜は大雨。耳の通りが良くなったので、雨音がうるさいほど。久しぶりの降雨だから、もっと降ってもいいよと思っていたが、朝方には上がってしまった。それでも、それ以後晴れ間は見られず、気温も久しぶりに30℃以下で、過ごしやすい一日だった。明日には暑さが戻ってくるらしいから、束の間の涼風である。

 「ガバナンス」10月号の原稿を執筆。パゾコンで書いても、「執筆」という。締切りは6日だが、今日を逃すと執筆時間が取れない。「民意とは何か」というテーマ。一回分では書き切れず、11月号でも同じテーマで書く。例によって、「早いのが取り柄」ではあるが、まずは、原稿書き上げてほっとする。

 国会は開店休業。民主党、自民党は代表選モードに突入である。どちらも、すんなりと「現職で決まり」とはいかないようで、対抗馬の名前が出つつある。国政に参加する予定の大阪維新の会も、いずれ代表は決めなければならない。安倍晋三氏へのラブコールは実らなかったので、結局は、橋下徹氏がやるしかないだろう。そうなると、橋下氏は「総理大臣候補」として、次期衆議院議員選挙に出馬せざるを得ない。「市長職をまっとうしたい」というのはホンネだろうが、橋下氏がどう判断するか。興味本位ではいけないが、民主党、自民党の代表選びよりも、こちらのほうがよほど興味深い。


2012.9.1(土)

9月になれば    

 「♪♪ September そしてあなたは/September 秋に変わった/夏の陽射しが弱まるように心に翳がさした ♪♪」(竹内まりや「September」)。9月になった。横浜には「大雨洪水警報」が発令されていたが、大雨ならぬ小雨が降った。夏の陽射しも弱まったが、明日には強い陽射しが戻ってくるだろう。だから、私の心に翳がさすこともない。

 防災の日である。去年の9月1日の日記には、「関東大震災が、今の東京を襲ったらどうなるのだろう」ということを書いていた。内閣府は8月29日、南海トラフの最大級の巨大地震が発生した場合の被害想定を発表した。東海地方から九州までの広い範囲で、死者が最大で32万人(最小でも3万人)、最大で238万棟が倒壊・消失する。昨年の東日本大震災の被害をはるかに上回る。発生頻度は極めて低いとはいうものの、恐ろしい被害である。発表を受けて、被害が想定される地域の住民がパニックになることはなかったようだ。「今から、そんなに脅かすなよ」という人も、いなかっただろう。あくまでも想定ではあるが、その結果を発表しておくことは、とても重要である。対処の方針を立てることができるし、何よりも、心構えをあらかじめ持つことができる。災害対応の基本である。

 ついでに、去年の9月の日記を眺めていたら、9月9日に「聴こえが回復」というのがみつかった。この日以降、耳の状態は再び悪化に向かったことになる。まさに、去年の9月9日以降に起きたこと。となると、今の完璧な耳の状態が、悪化することがありうる。被害が想定されるのだから、パニックになることはないとしても、事態にきっちり対応しておくことを胸に刻んでおこう。「備えあれば、憂いなし」。それにしても、耳のケースで、何を備えておけばいいのか、いまひとつ、わからない。

 今月、大阪維新の会は、公開討論会(複数回?)を開く予定。国政に乗り出す維新の会として、次期衆議院選挙に合流する国会議員を選考する「面接試験」ということらしい。「試験官」には、竹中平蔵慶應大学教授、堺屋太一氏の名前があがっている。討論会に参加した結果、「不合格」となった現職国会議員は、どうなるのだろう。元の政党に戻るに戻れないだろう。それとも、出席議員は、あらかじめ「合格内定」を得ているのだろうか。それにしても、大阪維新の会に、現職国会議員が意のままに動かされている状況は、どう考えたらいいものか。


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