宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記 5月第5週       

2004.5.31(月)

 美しき5月も、今日でおしまい。今月の月間走行距離は、今朝の4キロを加えて、153キロ。月初めの勢いでは200`を軽く超えるはずだったのに、途中2度にわたり軽い風邪気味で、こういった結果になった。来月は、地道に走ろうと思う。

 今日の定例記者会見は、犯罪捜査報償費をめぐっての県警との「交渉」の経緯についての質問一色だった。言いたいことはたくさんあるが、それは裁判で求められている釈明書で、じっくりと、そして論理的に展開していこうと思う。真実は、数日後なのか、数ヶ月後なのか、それとも数年後なのかわからないが、必ず明らかになる。その時に振り返って、登場人物がどのようなことを言い、どのような行動をしたのか、おのずから審判は下る。その時にあっても、恥ずかしいと思い起こすことのないような行動だけはとろうと思っている。そうと決めれば、何も恐れるものはない。


2004.5.30(日)

 朝起きて新聞を読む。阪神が逆転負け、巨人が大勝、全日本男子バレーが全敗、ベガルタ仙台が大敗という記事が載っているスポーツ面は読む気がしない。それが今朝だった。その不快さを振り払うようにしてSMCに。岩手県での錦秋湖マラソン、台原森林公園での駅伝に出場するメンバーが多いので、今朝の参加者はふだんの半分。そう言えば、錦秋湖マラソンでは9年前にハーフを走ったことを思い出す。景色もよくて走りやすいコースだったが、暑いのに参った。

 それを思い起こさせるように、今朝は暑かった。一気に夏である。短パン・短シャツ姿でも、その短シャツが汗まみれになる。日陰が恋しい。1キロで100グラムの水分が失われる走りになる。そのせいもあり、走った後の計量では、50キロ台を記録した。

 午前中の行事は、精神障害者家族会の総会への出席。午後からは、市町村合併に関するシンポジウムでの講演とパネラー。これに午後一杯かかった。

 文庫本の翻訳ものミステリー(「魔が解き放たれる夜に」H・クラーク、「黒い河」G・M・フォード、「囚人分析医」アンナ・ソルター)を読んでしまったので、日本人作家に戻り、小川洋子さんの「ブラウマンの埋葬」を読んだ。前作「博士の愛した数式」とはかなり違った作風である。小説というよりも詩のようなものとして読めば納得。逆に、ストーリー性を求めて読むとあてがはずれる。読まずに置いていた山口瞳さんの「人生論手帖」をパラパラとめくっているうちに、結局全部読んでしまった。敬愛する山口さんの本はほとんど全部読んでいたはずなのに初めてのような気がする。そう思ったら、巻末に「本書は、単行本未収録の文章をまとめたオリジナル・エッセイ集です」とあった。文章のリズムがいいし、人生への頑固さが心に染みる。惜しい人を亡くしたものである。


2004.5.29(土)

 今朝も走る気力に乏しかった。どうやら、ほんの軽いものではあるが、風邪引きなのだろう。無理して走ってもつまらない。体調悪化させたら、もっとつまらない。

 そんなことも含め、「走ることの意味」のようなテーマで、講演をした。ほんの30分だし、講演というほどの中身でもない。日本理学療法学術学会の市民向け講座の部分で頼まれていたものである。ほぼ毎日のジョギング、同じくほぼ毎日のこの日記、毎週のメルマガ執筆、同じく毎週水曜日の「シローと夢トーク」のラジオ番組。こういったことが規則的なリズムになって、私の日常生活が成り立っている。そんなことも紹介しつつの話だったが、理学療法学会にはふさわしい内容とは言えないだろう。申し訳ない思い。

 午前中に、そのリズムの一つであるメルマガを書いた。北朝鮮拉致被害者家族会へのバッシングというニュースを聞いて、「『弱者』が主張する時」というテーマで書き出した。「かわいそうな」障害者が、自分の言葉で主張した途端に、世間の扱いが変わってしまうという現象、何度その景色を見たことか。今回のバッシングと重複して見える。

 「ラジオ3」で、ロジャー・大葉さんの実況中継により、ベガルタ仙台が川崎フロンターレに大敗を喫する試合を聴いた。「かわいそうな」ベガルタ仙台になってしまっては困る。ここから本格的な巻き返しを図らなければならない。


2004.5.28(金)

 今朝は、いまひとつ気力が充実しなかったので、走りはパス。すごい勢いで走りまくった今月前半だったが、結局は、普通並みの月間走行距離になりそう。

 なんやかや、気持ちの上ではばたばたという感じの一日だったが、日程上はそれほど忙しいというものではなかった。夜は、久しぶりに連句の会。あまり文学的でない生活を送っていたせいもあり、どうも調子が出なかった。したがって、いい句はひねり出せず、他のメンバーからは評価されない出来となった。それはそれとして、わいわいがやがや、ケラケラ笑いさざめきながらの楽しい会に出ているだけで、日常を忘れる。


2004.5.26(水)

 この時期になると、4時台から明るくなる。これなら、2時間のデイライト・セイヴィングをしても十分である。それをやると、夜の9時まで明るいのだから、お父さんが会社から帰ってきて、息子さんとキャッチボールができるということ。省エネになるかどうかはわからないが、親子のきずなが強くなることは確かだろう。

 新緑が美しいこの季節。今朝のジョギングは、牛越橋、仲の瀬橋、大橋、澱橋と回る一筆書きコース。橋の上から見る広瀬川は、雪解け水のせいか、流量が多い。新緑と川の流れ。短パン・短シャツで走って丁度いい気候。ジョガー以上、ランナー未満の走り方をしている身としては、何物にも代え難い至福の走りである。

 朝も早い時間から、仙台駅に出向いて、自動車税納期内納税推進街頭キャンペーン。改札口から出てくる通勤客に、ティッシュ・ペーパーを配って協力をお願いする。一年に一度のキャンペーンだから、誠心誠意でやらせてもらった。福岡から出張できていた二人には身分がばれて、「一緒に写真を」に応えてしまった。宮城県の自動車税の納付義務者ではなかったのだが・・・。

 名取市臨空都市整備事業合同起工式が11時から。仙台空港アクセス鉄道の整備に伴って、沿線の2駅周辺の区画整理事業も完成しなければならない。その起工式を、この時期にやっと実現することができた。平成18年の開業を目標に、出発点に立ったということである。


2004.5.25(火)

 朝、少し時間的余裕があったので、新しいコースである六本木・麻布方面をトライしてみた。道路も広くて走り易いコースではある。ただ、車の行き来の音がうるさくて、集中力を欠いてしまう。一つの要因は、頭の上を走っている高速道路である。うるさい。沿線に住む方にとっては、この騒音が四六時中なのだから、さぞや大変なことだろう。都市としての美観からいっても、極めて支障がある。世界の主要都市で、東京の都心のような形で高速道路が走っている例はあっただろうか。いまさら嘆いてもしょうがないが、今朝走ってみて、改めて実感した。

 朝の時間は、厚生労働省の幹部と地方分権研究会のメンバーとの意見交換会。2回目の今回は、佐賀県の古川知事も出席した。地方財政自立改革に関連して、補助金・負担金廃止の考え方について、霞が関の真意を確認するというのが趣旨である。同時に、我々地方側の考え方もしっかり伝えておかなければならない。つまりは、的確なコミュニケーションということ。

 昼からは、前代未聞の「地方財政危機突破総決起大会」に出席のため、武道館へ。「前代未聞」というのは、この種の大会開催の前例がない。それにその規模。地方六団体を構成する知事、市長、町村長、そして議会議長だから、7000人を超える。ほとんどが、代理ではなく本人出席である。全部で1時間だけの会合であったが、盛り上がりは相当のもの。鉢巻姿はいかがなものかというこだわりがあったので、多くの知事と同様に、私もしなかったが、それはともかく、意義のある会合ではあったと思う。

 午後からは全国知事会。この時期に開催は珍しいし、これまた本人出席が30人以上というのも相当なものである。地方財政自立改革の正念場という認識を全員が持っているので、こういうことになる。いつものことながら、次から次へと意見続出で、時間が足らなくなった。梶原会長の強引な捌きがなければ、相当の混乱になっただろう。仲間の知事が元気はつらつとしているのが、頼もしい。


2004.5.24(月)

 朝の走りで、こども病院まで行こうかとも思ったが、とても時間が足らない。8キロ走にとどめた。そのこども病院へは、高円宮妃殿下のご視察に随伴して行くことになった。私としても、こども病院の中に入るのは久し振りになる。今回は、NICU(新生児集中治療室)が満床である。入院患者も数多く見られた。養護学校の分室でも、何クラスか授業が行われていた。活発に動いている場面を見ることができたので、改めてこども病院の意義を確認することになった。高円宮妃殿下も、施設だけでなく、その運営状況も印象深くご視察されたようにお見受けした。

 今日の定例記者会見は午後から。北朝鮮からの家族帰還、県警犯罪捜査報償費問題などについて質問が続いた。それを終えて上京。

 カンヌ映画祭で14歳の柳楽クンが最優秀男優賞を獲得したニュースには驚いた。快挙である。彼のコメントがいい。将来サッカー選手になろうか、俳優になろうか迷っていたけど、こうなったら俳優でいくしかなくなったというもの。若くて才能があるということは、なんて素敵なんだろう。


2004.5.23(日)

 5月としては涼し過ぎる朝。SMCへは短パン、長シャツででかけたが、やや寒いぐらい。森由紀男さんは、走り過ぎらしくて腰を痛めている。菅原久吉さんは、左膝の状況が相変らず良くないとのこと。私は、特に悪いところはない。無事これ名馬。80歳でも20キロ走れることが、我々市民ランナーの一つの目標だなと言いながら、岡本幸治さんや佐藤登志夫さんなどの仲間と一緒に走っていた。

 高円宮妃殿下をお迎えしての第18回日本車椅子ツイン・バスケットボール選手権大会が、利府町の宮城県総合運動公園グランディ21で開催され、今日が決勝戦と閉会式。車椅子ツイン・バスケットボールは生まれて初めて見たが、これがなんとも面白い。奥深い。車椅子使用者の中でも、上肢の機能が強い人、障害のある人といるわけで、それをうまく組み合わせてやるゲームになっている。勝つためには、囲碁・将棋やチェスのような頭の働かせ方も必要。 ツインというのは、高いところのバスケットと、低い位置のバスケットと2つ使用されているから。大げさかもしれないが、人生や社会のありようを教えてくれるようなゲームである。あまりに興味を持ったので、今度のメルマガのテーマにしてしまった。

 夜の晩餐会が、これまたユニークであった。草の根グループという人達が、自分達で企画運営しての晩餐会。そこに高円宮妃殿下をお迎えするというのだから、ある意味ではすごいことである。8時までの予定が、盛りだくさんの内容で9時まで延びてしまった。それはそれで、意義深い。


以前のジョギング日記はこちらから



TOP][NEWS][日記][メルマガ][記事][連載][プロフィール][著作][夢ネットワーク][リンク

(c)浅野史郎・夢ネットワーク mailto:yumenet@asanoshiro.org