宮城県知事浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

ジョギング日記  6月第4週
2002.6.22(土)

 朝、起きてみれば、理想的なランニング日和。梅雨空の下、雨は降りそうで降らない。気温はあくまで低目。今頃の東京で、これほどの好条件はない。ということで、渋谷秘書とともに、例の東中野コースを走ることにした。

 四谷あたりを走る頃から、リズムに乗る手応えを感じた。手応えでなくて足応えか。幸せを全身で感じながら、新宿、中野坂上、東中野、小滝橋と走り続けた。隣をうかがえば、渋谷秘書も快調に走っている。そのリズムにも助けられて、最後まで楽しく走ることができた。久しぶりの一時間半走。幸せ一杯で走り通した。

 朝食は、寺島実郎さんと一緒。いつものように、思いつくことを勝手に話すだけなのだが、考えるヒントと生きていく勇気のようなものをもらうから不思議だ。彼のほうでも、同じように感じてもらっていればいいなとも願う。

 取材対応、中沢健さんの会合での講演。その合間に、十年前までよく通っていた店での理髪、ベルビー赤阪でのCDとDVDの購入。探していたDVDがみつかった。こんなちょっとしたことにも、幸せを感じる。

 中沢健さんは、私が昭和62年から1年9ヶ月務めた厚生省障害福祉課長時代に、専門官としてご一緒した同僚である。第二次大戦でご父君が亡くなった場所ということで、マレーシアのペナンに渡った。そこで、障害福祉の仕事に従事して十年以上になる。究極のボランティアである。その中沢さんを日本で支える会の定期総会での記念講演を頼まれていた。私としては、「喜んで!」ということでお引き受けした。障害福祉の仕事を通じての、旧知の仲間に再会することも、楽しみではあった。

 明朝、早い時間の仕事があるので、懇親会を早々に引き上げて、仙台への帰途についた。


2002.6.21(金)

 今日も一日あわただしい時間を過ごした。朝は、いくつか仕事をこなして東京へ。政府税調委員の諸井虔さんにお会いして、道路特定財源の問題についての意見交換。同じ件で、財務省への要請行動。多忙な時期らしく、直接会うことができたのは、数人だけだった。赤坂プリンスホテルでの全国高速道路建設協議会に、後半だけ出席して、そのあと、会長の平松大分県知事、監事の片山鳥取県知事とともに記者会見に臨んだ。高速道路の建設がまだまだ必要だということを、マスコミを通じて地方の実情と共に訴えるということである。

 そのあとは、国土交通省にて道路関係、河川関係の意見交換と要請行動。文部科学省に行って、仙台市が知的クラスター地域として指定されたことについて、御礼と意見交換。そして、最後は、わが東京事務所にて、第9回目になる中央省庁関係者との勉強会であった。いつものように、サンドイッチをつまみながらの会。自由貿易について、外務省職員のプレゼンテーションが今日のメインであった。

 こんな調子で、忙しいと言えば忙しい、別な表現では充実した一日であった。最後の締めくくりは、ワールドカップのアメリカ対ドイツ戦のテレビ観戦。日本が敗退しても、まだまだワールドカップへの興味は尽きない。

 鈴木宗男議員に対する議員辞職勧告決議案が、衆議院で「起立総数」で可決された。決議があっても辞職はしないと、鈴木議員は明言しているし、決議に拘束力もない。鈴木議員だけが特殊な例なのか。単に、やり過ぎ、ないしは目立ち過ぎだけのことではないのか。省みてやましくない人だけが起立できるはずなのに・・・、などと思ってしまう。


2002.6.20(木)

 昨夜は、この日記を書いた後、今日が締切りの原稿が一つあることに気が付き、あわててエッセイもどきを書くことになってしまった。そんなこともあり、就寝が少し遅くなったので、今朝のジョギングは中止である。

 6月は、各団体の総会シーズンである。今日も、そんな総会が二つあった。その合間に、内外情勢調査会の講演。先日、石巻でやったものの再演である。地方分権といった固いテーマなので、聴衆の方々のご興味を引きつけるまでいかなかったようだ。この時期、ワールドカップの話でもすれば、もっと受けたのに。

 県警察本部の出張旅費の執行に、不正があったのではないかということで争われていた訴訟において、被告である元県警職員は、カラ出張であることを認めたわけでもないのに、原告である仙台市民オンブズマンの請求を認諾した。争われていた約150万円を、県警に返還したのである。そのことを受けて、市民オンブズマン側が、私に対して公開質問状を発していた。平成6、7年度の出張旅費の執行が適正に行なわれていたかどうかについて、県警に対して内部調査の要請をするかといった質問である。その回答期限が本日で、「要請をする」という回答をしたところである。

 いたずらに問題を大きくするつもりはない。しかし、「カラ出張があったのかどうか」ということで争われていた訴訟の最終局面で、被告である県警職員が請求内容を認諾するというのは、重大な決断である。そして、こういう決着は、極めてわかりにくい。実際にカラ出張があったのかどうかについては答えずに、金だけは返還するというのだから。県民に対しては、その間の事情を説明する責任があるだろう。予算執行者としての県は、そのことを県警に要請する義務があるということだ。  


2002.6.19(水)

 一夜明けて、梅雨の晴れ間、絶好のサッカー日和。まさに、一夜明けて、日本国中が、落胆し、そして、敗戦の意味を噛み締めている。

  ここまで来たので上々と思いながらも、あのトルコ相手だったら勝てたのではないかの無念さが残る。実力を出しきれなかったのではないか。しかし、そのこともまた実力。これがサッカー、これがワールドカップ。フランスも、アルゼンチンも、そしてイタリアまでもが、よもやの敗戦を喫して去っていったではないか。

  それにしても、ワールドカップは、数々の感動を、私達に残していってくれた。その開催自治体の一つとして参加し得たこと、しかも、その最後の日本戦を地元に迎えることができたことの僥倖に、改めて感謝したい。

  その感動に水を差したバイロム社のチョンボ。特等席を「見切れ席」と思い込んで、その分のチケットを売らなかったんだって。冗談じゃない。無能、無責任、無配慮。チケットを求め続けて叶わなかった人たちの思いに、あなたがたはどう答える。一夜明けても、怒りは収まらない。

  志津川支所での、地方公所のヒヤリング。若手職員との車座集会。片道2時間。往復4時間。役所に戻って、いろいろな懸案に対処。そのあと、仙台二高の同級生、菊地昭典クンの出版記念パーティーへ。昨年、「とっておきの音楽祭」のプロデュースをした経験を1冊の本にまとめた。出版もめでたいが、この画期的なイベントを今年もやろうということにまとまっていることが、もっとめでたい。

  今朝は、すかっとした晴れ間の中を、軽く3K。まさに、こんな好天の下、走らなきゃ損の心境だった。


2002.6.18(火)

 朝、6時過ぎに、TBSラジオ、生島ヒロシの「おはよう一直線」に電話出演。言わずと知れたワールドカップでの日本代表対トルコ戦が、わが宮城スタジアムで開催されることについてのコメントである。何度も繰り返しているが、「まるで、夢のよう」である。宮城にワールドカップを誘致してよかったと心から思う。今日の試合は、勝ち負けはともかく、見ているものを感動させる、いい試合をしてほしい。それだけである。気になるのは、予報では雨という天気。そんなことをコメントした。

 そして、本番。なんと、なんと、天気予報が的中してしまって、かなり大粒の雨である。せっかくの試合なのにと、思わず天を見上げて恨み節。宮城スタジアムで開催される、最後の試合を息を詰めて見ていた。そして、結果は、非情にも敗戦。勝てる試合だったがなあー、という思いは率直にするが、これがサッカー。仕方がない。奇跡は、今回は起きなかった。

 試合が終わって、ロッカールームの前で選手の帰りを待っていた。日本サッカー協会の名誉総裁である、高円宮殿下が選手にねぎらいのお言葉をおかけになる場面に、私も居合わせることになった。精一杯戦った勇者、日本代表の選手達が私の前を過ぎていく。「よくやった、感動をありがとう」という言葉を心の中でかけながら、彼らの姿を見ていた。

 かくして、宮城スタジアムでのワールドカップは、今日をもって終了した。すばらしい試合を目の前で見せてもらったことに対して、すべての関係者に心から感謝したい。この経験は、必ずや、これからの宮城県の元気の素になることだろう。

 それにしても、この大事な試合なのに、観客席で一番目立つ場所が、
700席ほどがっぽりと空席になっていた。これは、バイロム社も認めているように、この座席を誤ってシートキル(見切れ席)と見てしまったという、配席上のミスによるもの。この大切な、誰もが見たいと熱望していた試合で、こんなことが起こってしまったことは、笑って見過ごすわけにはいかない。しかるべく、責任を取ってもらわなければ、サポーターの皆様に申し訳がない。とても残念である。


2002.6.17(月)

 忙しい一日だった。月曜日の定例である三役会、庁議そして記者会見。記者会見では、ワールドカップ、筒砂子ダム、韓国産生かきの混入に関する調査、県警の不正支出疑惑などについての質疑があった。通常30分のところ、今日は40分かかっていた。

 昼食時も打ち合わせ。そのあと、午後の日程では、実に14件の案件が次から次へと。14件目が内外情勢調査会の講演が石巻にて。これは、毎年欠かさずお願いされているもので、毎回テーマを変えてお話させてもらっている。今回は、地方分権について。同じテーマで20日には仙台で話をすることになっている。

 夜は、ブラジル対ベルギー戦に間に合った。仕事とワールドカップ、そんな毎日である。明日はいよいよ日本対トルコ戦。試合も気になるが、円滑な運営のほうがもっと気になる。どちらも、しっかり期待に応えてくれることだろう。

 朝は、足の痛みを気にしながらであったが、軽く4K。全く違和感なし。4Kでも結構汗をかいた。


2002.6.16(日)

 梅雨入りした仙台地方、今日は久しぶりの青空を見た。SMCにでかけて、皆と一緒に走り出したが、足に違和感が残る。自宅前にさしかかったところで、リタイア。やはり、昨日張り切り過ぎたツケが出た。一日休めば回復するぐらいの状態である。

 久しぶりの休日。資料を読んだり、原稿を書いたりと、それなりに貧乏性を発揮しているが、基本はゆったりである。

  読みかけていた江國香織の短編集「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」(集英社)を読み終えた。ついでに、川上弘美の「蛇を踏む」も買っておいただけになっていたので、読んでみた。ちなみに、この二人は、私生活でも仲良しとのこと。いずれも、ちょっと変わった小説であり、表題などはうんと変わっている。それでも、文章表現が秀逸なことには、感心する。若い才能に拍手喝采である。


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