浅野史郎のWEBサイト『夢らいん』

 

讀賣新聞 夕刊 2008.11.20
浅野史郎の《夢ふれあい》 第16回

障害者就労「当たり前宣言」

 障害者の就労がなかなか進まない。法律の定めによると、民間企業は従業員数の1.8%にあたる障害者を雇用しなくてはならない。これを法定雇用率というが、2007年は1.55%で、半数以上が未達成である。

 なぜ、こうなのだろうか。私は、世の中全体の無関心、無理解が一つの原因ではないかと考えている。世の中の大多数の人たちが理解してくれれば、状況は大きく変わるはずである。

  同じように考える人たちが動き出し、厚生労働省も支援して、「ATARIMAEプロジェクト」が始動した。趣旨は「障害者があたりまえに働けるニッポンへ」である。10月16日には、公式サイト(http://atarimae.jp/)がオープンした。

  サイトのキーコンテンツは、「クロス×トーク はたらくちから。」。趣旨に賛同するタレントや著名人が、働く障害者にインタビューする様子を動画や記事で見られるというものである。

  サイトを開いて、お笑いタレントのダンディ坂野さんが、マクドナルドで働く知的障害のある草場央子さんにインタビューする様子を動画で見た。坂野さんも、マクドナルドで10年間働いた経験がある。草場さんは、「ラッピングの速さは、同僚の誰にも負けない」と自信を示しながら、働く喜びを率直に語っていた。

  サイトでは、坂野さんのほか歌手の松浦亜弥さん、タレントのルー大柴さんらが、それぞれの「ATARIMAE宣言」とともにサポーターとして名を連ねる。障害者雇用に関心が薄いと思われる若い人たちを狙った人選かもしれない。若い人にアピールするかどうかわからないが、実は、私も7番目のサポーターである。

  プロジェクトの実質的推進役で、授産施設などの経営指導をする兜沁ャxンチャーパートナーズの大塚由紀子代表は、「障害者が働くことは特別なことではないのだと発信していきたい」と語る。まずは、サイトを開き、「ATARIMAE宣言」をしてみてはどうだろう。