讀賣新聞 夕刊 2008.10.16 特別支援教育の現実 障害のある児童・生徒でも、本人が望めば、普通学級で学ぶことができる。学校では、特別支援教育の理念に従い、適切な対応がされる。今では、それが当たり前と思っていた。共に学び、共に育つことで、クラスメートも大きく成長していくというエピソードを数多く聞き知ってもいた。 しかし、そんなハッピーなエピソードだけではない。埼玉県Q市の中学校での実態を知って愕然とした。 知的障害を伴う自閉症のP子さんは、中学2年生。普通学級に通っている。P子さんの母親は、知的障害者の保護者会による啓発活動で落ち込んでしまった。 P子さんは、咽頭の感覚障害のため飲み込めない食べ物が多く、特定の食べ物だけを摂る傾向がある。だが、クラスメートへの事前のアンケートでは、「P子が給食でお代わりをたくさんしてズルイ」という意見が出た。「授業中に騒ぐのがいや」といった答えもあった。 話し合いでは、さらにきつい意見がクラスメートから出された。「運動会でビリになるから来ないで欲しい」 「来年受験なので、同じクラスは嫌だ」「触られるのもイヤ」といった言葉が、P子さんのお母さんがいるところで次々に飛び出した。 適切な支援がなされていると信じていたお母さんにとっては、学校に裏切られた思いである。 プールで準備運動中に飛び込み、先生に「出ていけ」と言われたこともある。教室でパニックを起こした時は、「お母さん、迎えに来て」と先生から連絡が入った。 これでは楽しく学校に行けるわけがない。特別支援教育について、これだけ無為無策、そして無知な学校が、現実にある。 P子さんのお母さんは、あきらめてはいない。この学校が変われば、世の中が変わる。そんな思いでいる。私としても、「もうちょっと頑張って」と言うしかないのだが、何とかしたいと考えている。
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