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讀賣新聞 夕刊 2008.9.4
浅野史郎の《夢ふれあい》 第11回

目指せ!税金払える障害者

 竹中ナミさん(ナミねぇ)は、間もなく還暦だというのにますます元気。ICT( 情報通信技術 )を活用して、チャレンジド(challenged)の自立と社会参画、特に就労の促進を目標に活動する社会福祉法人プロップ・ステーションの理事長として、活動の幅がどんどん広がっている。

  「チャレンジド」というのは、「神から挑戦という課題を与えられた人」という意味の米語である。障害があるからこそ体験できることがある。それを自分や社会のために生かす役割を持たされているということで、「障害者」の呼称に代わる前向きの想いを込めた呼び方である。

 ナミねぇ自身も、チャレンジドの母親である。重症心身障害を持つ娘を授かって35年。障害を持った人たちが、税金を使う立場から、税金を払う立場になれるように、就労支援の活動をがむしゃらに続けてきた。

 そのナミねぇから、近く、東京でも「チャレンジド就労支援ICTセミナー」を開設する予定であることを聞いた。

 プロップでは、17年前の設立以来、神戸を拠点に、チャレンジドがICTを駆使して就労を果たすためのパソコン・セミナーを継続してきた。ICTを使って、在宅就労につなげたり、自ら起業を果たしたりしたチャレンジドは、神戸本部だけでも数十人を数える。教えるのは、ICTの一流プロである。そのセミナーが今年10月から東京でも始まるそうなので、チャレンジドの就労の可能性はさらに広がるだろう。

 毎年、ナミねぇには、慶應大学での地方自治の授業のゲストとしておいでいただいている。重い障害を持った人たちが、ICTを使って一流の仕事をこなす様子が映像で示される。障害とは何か、社会とは何かについて、真剣に考えるヒントが示される。聴き入る学生たちは、みんな目からうろこ状態。そして生きる勇気をもらったような気持ちになる。今年も、ぜひまた、ナミねぇのお出ましをお待ちしたい。


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