![]() 時事評論 2001/9月号から 「全国知事会」 今年の全国知事会は、七月十八日に福島県で開催。時あたかも、小泉構造改革に知事会としてどう対応するかという時期である。実態は、小泉構造改革に対して、知事会一丸となって反論する場として設定するのには、十分な準備が整っていなかった。それでも、多くの知事の間には、変革の時代に何かをしなければならないという危機感と意気込みは感じられる今回の知事会ではあった。 論点の中心は、地方交付税の見直し、税財源の国から地方への委譲などの分権議論。小泉改革では、当初、「地方交付税の一兆円削減」や「道路特定財源の一般財源化」などの話が飛び出したこともあり、「地方への一方的な痛みの押しつけ反対」といった声が地方からは発せられることが多かった。被害者意識的な発想になることは、ある程度仕方がない。 今回の知事会で、何人かの知事たちから力説されたことは、「地方の立場から」といった損得論、地方のエゴととらえかねない言い方はやめようということである。むしろ、税金を有効に無駄なく使うシステムとして現在のような国と地方との関係でいいのか、国が補助金や規制によって地方をしばるといった形で、地方は個性ある地域を作ることができるのかといった問題提起をすべきである。そういう主張が多く聞かれた。 これはまっとうな方向である。アピールすべきは国に対してというよりは、広く国民一般に対してである。国から地方に税財源を委譲し、基本的には地方はその財源で仕事をする。国からの補助金などは大幅に整理する。地域によって税源の偏在があることは当然なので、地方交付税による財政調整は必要である。 地方が仕事のために使うお金は、基本的に自分のお金である。国におねだりをしてもらったお金ではない。だからこそ、有効に大事に使う。今使うべきところにだけ厳選して使う。ああ使え、こう使えの国からの指示・縛りを受けずに、個性的に使う。ひもつき、限定つきの一億円よりも、自由に使える八千万円のほうが有効に使える。地方として言いたいことはこういうこと。 こういうことをわかりやすく国民に対してアピールしていかなければ、知事たちのたわごとになってしまう。そんなことを改めて確認することになった今年の全国知事会であった。
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