時事評論から2001/5月号から 「NPO花盛りのために」 日本の社会に民主主義は根付いているのか。自分の頭で考え、自分の足で動き、責任も自分で取るというのではなく、誰かに決めてもらい、自分では動かず、結果にだけは不満を言う、こういうのをお任せ民主主義と呼ぶ。 ほんものの民主主義を根付かせるためには、地方分権、情報公開、NPOが重要である。今回は、その中の、NPOについて書いてみる。 NPO花盛りの宮城県にしたいと願っている。数の上では、「NPO法」に基づき法人化したNPOは、宮城県では七十を越えている。人口当たりの認証数でいえば、全国第六位というところ。もちろん、大事なのは数ではない。 介護サービスや食事宅配など福祉関係のもの、水を守る、自然環境を守るといった環境関係のもの、NPOの活動そのものによって、直接恩恵にあずかっている人もいるし、地域に貢献しているという側面がある。同じような公益の仕事をやっている行政にとっては、NPOはよきライバルである。自分たちの仕事のやり方を見直す契機にもなる。 NPO活動が地域にとって必要であるというのは、これにとどまらない。活動に加わることによって体感する充実感は、地域に住む人たちにとって、新しい経験である。青少年がNPO活動に邁進する様子を想像すると、それだけで胸が踊る。地域を変えるだろうし、青少年の生き方を変えるだろう。 NPO側でも、多くの人たちを活動に巻き込むための努力を惜しんではならない。注意を引き付けるまではできても、活動主体としてつなぎとめるのはむずかしい。マネジメントの技術が求められるゆえんである。 それにしても、NPO花盛りになれば、地域は活性化する。民主主義が根付く。行政のありようもいい方向に変わる。いいことづくめではないか。だったら、NPO支援にもっともっと力を用いるべきである。国が導入しようとしているNPOへの寄付控除の優遇策が、その点からは全く不充分である。控除の対象になるための条件が厳し過ぎるだけでなく、認定は国の機関たる税務署がもっぱら行なうというところがNPO的でない。 NPO花盛りにするためには、もう少し知恵と力を結集することが必要であることを改めて感じている。
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