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月刊ガバナンス平成26年8月号
続アサノ・ネクストから 第47

都議会のセクハラヤジ

 東京都議会で、質問に立った塩村文夏議員に対して、セクハラヤジが複数投げかけられた。そのうち、「早く結婚したほうがいいんじゃないか」のヤジを飛ばした鈴木章浩議員だけが、「私がやりました」と名乗り出た。塩村議員自身がツイッターでセクハラヤジがあったことを書いたら、9万件以上の反応があり、マスコミも取り上げる、海外からの反響もあるなど、大騒ぎになった。鈴木議員は観念して、名乗り出たようである。

 私の知事時代の宮城県議会でも、女性議員に対してセクハラヤジが飛ばされることはあった。地方議会で、少数会派に属する女性議員がいるところでは、この手のヤジは、よくあることである。それでも、そのことが大問題になることはなかった。

 日本国中を巻き込み、海外マスコミからも注目される大問題になったのは、現場が東京都議会であったからである。同じ議会でも、世の中の注目度が違う。このことは、昨年6月の都議会選挙の際にも、この欄で言及した。「参院選の前哨戦とマスコミも大騒ぎ、宮城県議会選挙では、新聞の全国版ではほとんど報道されないのとは好対照」と書いた。同じ地方議会でも、首都の議会は特別である。

 鈴木議員は自民党会派の座席からヤジを飛ばした。自民党は、都議会で最大会派である。先の知事選挙では、舛添要一氏を支援した「知事与党」でもある。議員には、そこに属していることから、議会内での驕りがある、心のゆるみも生まれるのは否定できない。

 今回のセクハラヤジについて、海外マスコミなどからも注目された。6年後にオリンピックを開催するTOKIO、その東京都議会での出来事だからこそ、論調はそれだけ厳しいものがあったのだろう。2020年のオリンピック誘致に際しては、都議会も知事と一緒になって、大いに奮闘したではないか。その奮闘努力もあって誘致したオリンピック、その蔭には、東京の都市としての成熟度も審議メンバーに好印象を与えたこともあるはずである。都議会は、このことも十分自覚しなければならないのに、何たることか。

 今回のことは、悪いことだけではない。世の男性諸君に、こういうこともセクハラになるということを、しっかりと知らしめる学習効果がある。

 身体に触れるといった行為だけでなく、言葉によるセクハラがあり、それに対しては社会的に指弾されることも知った。一罰百戒というのは、こういう場面で使う言葉でないかもしれないが、「人の振り見て、我が振り直せ」ならわかるだろう。「ちょっと待て、その一言がセクハラだ」でもいい。

 もう一つは、全国的に大騒ぎになったということで、注目されたということである。都議会に限らず、地方議会は、二元代表制の一方の存在である首長ばかりが目立って、存在感がない。今回のことで、東京都議会ここにありと、東京都民だけでなく、国民全体に強烈にアピールした。存在感を示したということである。

 今後は、是非とも、いいことで存在感を示してもらいたい。一回大転びしてしまったが、「転んでも只では起きない」。何か大きい物をつかんで立ち直って欲しい。


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